AppExchange 入門
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- AppExchange の概要を説明する。
- Salesforce では AppExchange リストがどのように分類されるかを説明する。
- AppExchange の価格設定について説明する。
- ビジネス要件を基に AppExchange 戦略を立てる。
AppExchange エキスパートの誕生
おめでとうございます。あなたは意欲的な Salesforce システム管理者として念願の職に就くことができました。地域でも有数の再生可能エネルギー企業である Ursa Major Solar で Sales Cloud のロールアウトを担当します。マネージャーはロールアウトに積極的で、営業チームも心待ちにしています。Ursa Major の社長の口癖どおり、前途洋々に思われます。
8 週間後、Ursa Major の営業担当のほとんどがクラウドの使用を開始していました。期待どおり、これまで以上に多くのリードを記録し、多くの商談を成立させています。けれども、数人の営業担当は旧態依然のやり方、つまりメモ用紙や付箋に走り書きしたり、ときには記録することなく営業活動を行っています。あなたはチームの採用率 100% を達成できると確信していますが、そのためにはデータが必要です。まず始めに、営業担当がログインする頻度や、使用する機能を知る必要があります。そのデータを視覚化する手段も欲しいところです。問題は、あなたが他のプロジェクトで忙しいことです。不可能な任務に直面しているのでしょうか?
そんなことはありません! あなたが優れた Salesforce システム管理者とされる一因として、その飽くなき探求心が挙げられます。Trailblazer Community で、AppExchange に Salesforce のアドオンソリューションがあるという記事を読みました。この時点ですでに AppExchange エキスパートへの道を歩んでいます。
AppExchange とは?
ここでちょっと Ursa Major のソーラーパネルについて考えてみましょう。ソーラーパネルは太陽光を有効利用して電力に変換し、建物や地域社会に役立てます。単純明快ながら画期的な技術といえます。
AppExchange には、ソーラーパネルのごとく、Salesforce を有効利用するための画期的なソリューションが公開されています。AppExchange は、アプリケーションや Lightning コンポーネント、フローソリューションなど、Salesforce のすべてを取り揃えたマーケットプレイスです。
時間が足りなくて一からソリューションを作成できない場合でも、ニーズに合ったアプリケーションがきっと見つかります。サードパーティサービスを統合するように依頼された場合でも、AppExchange で見つかる可能性が高いです。また、AppExchange は Salesforce の公式アプリケーションマーケットプレイスですから、Salesforce に期待される透明性や信頼性などの要素はすべて AppExchange のリストにも引き継がれています。
さらに、AppExchange にはコミュニティという側面もあります。このコミュニティに欠かせないのが Salesforce パートナーです。優れたパートナーが Salesforce 上にアプリケーションやサービスを構築しています。他にも、あなたのようにプロセスの効率とチームの生産性を高めるために AppExchange を使用するシステム管理者や開発者などが参加しています。総じて、数千件に及ぶリストやピアレビュー、数百万件のインストール実績を誇る AppExchange の原動力となっているのがこのコミュニティです。
AppExchange で入手できるものは?
AppExchange にはすべての Salesforce クラウドや製品に対応するアプリが用意されていますが、通常はソリューションとコンサルタントという 2 種類のリストが表示されます。ソリューションは、Salesforce のプラグインとして機能を拡張するものです。たとえば、サードパーティの調査ツールを Service Cloud と統合するアプリケーションなどがあります。
コンサルタントは、特定のクラウドまたは業種向けのカスタムソリューションの構築や実装を手掛ける Salesforce プロフェッショナルです。たとえば、コンサルタントは機器メーカーと連携して、組み立て技術者向けのアプリケーションセットを開発できます。AppExchange には何千ものコンサルタントがリストされています。
もちろん、何が必要かわからずに AppExchange にアクセスする人もいます。Sales Cloud に使用できるアプリに興味があったり、人気がある小売業者向けアプリはどれかを知りたかったりすることもあります。何から始めればよいのかわからない場合は、AppExchange のコレクションを閲覧します。コレクションは AppExchange エキスパートが選定したリストのグループで、特定分野のトップソリューションに焦点を絞ることができる便利な方法です。コレクションについては、次の単元でさらに詳しく説明します。
最後にもう 1 つ、お気に入りのオンラインストアの品揃えと同様に、AppExchange の製品も常に変化し、増え続けています。新着リストをこまめにチェックするか、AppExchange ニュースレター (The Paw) にサインアップして最新情報をメールで受け取ることをお勧めします。
AppExchange コミュニティから学ぶ
週に 1 度の買い物リストをまとめながら、どうも献立のアイデアが浮かばないということはありませんか? そんなときにはお気に入りのレシピサイトを覗いてみたり、ソーシャルメディアで友達がどんな料理を作っているか見てみる人が多いと思います。つまり、コミュニティはアイデアを得るのに最適な場所なのです。これは、AppExchange にも当てはまります。
AppExchange コミュニティを探索するには、[学ぶ] セクションにアクセスします (1)。ここでは、アプリケーションに関するニュース、ハウツーガイド、お勧めリストを参照することや、AppExchange の熱心なサポーターやエキスパートと交流することができます。
価格設定
AppExchange は予算に見合うかどうか心配されているかも知れませんが、無料でインストールして使用できるソリューションが豊富に揃っていますから、ご心配は要りません。実際、Salesforce 従業員が社内で構築した Salesforce Labs ソリューションなど、AppExchange で高い人気を誇るソリューションのいくつかは無料です。多くのプロバイダーは試用版も提供していますから、良さそうだと思うソリューションが実際にニーズに合うかどうかを確かめることができます。後ほど、AppExchange 戦略で価格をどのように考慮するかについても学習します。
一緒にトレイルを進みましょう
エキスパートの説明を見ながらこのステップを実行したい場合は、次の動画をご覧ください。これは「Trail Together」(一緒にトレイル) シリーズの一部です。
Ursa Major に戻る
AppExchange の基本について習得できたところで、Ursa Major Solar が直面している課題に戻りましょう。営業チームの採用率を 100% にするためには、チームが Sales Cloud をどのように使用しているのか調べなければなりません。具体的には、誰がログインしているのか、どの程度の頻度か、どの機能を使用しているのかを把握する必要があります。さて、どんな方法があるでしょうか?
少しブレインストーミングをして、いくつかの選択肢を考えつきました。
- データを手動で集める: はい!? Salesforce システム管理者ともあろうものが、「手動」で何かをしてはいけません。次の選択肢、どうぞ。
- Salesforce で目的の機能を自力で開発する: 確かに可能ですが、すでに多くのプロジェクトで手一杯です。これは予備の選択肢として保留にしておきましょう。
- AppExchange でソリューションを見つける: あなたのニーズを満たすツールがすでに存在している可能性が高いため、あなたがすべきことはそれを探し出すことです。試してみる価値はありますね?
では、AppExchange で決まりです。今すぐ AppExchange をチェックしてみたい気分だと思います。ただし、リストは数千もあるため、無計画な閲覧は最も効率よくソリューションを見つける方法とは言えません。もっとよい方法があります。AppExchange 戦略を立てることです。
AppExchange 戦略を立てる
何を求めているのかを明確にしておけば、あなたとユーザーが満足するリストを見つけやすくなります。AppExchange 戦略を立てる際は、次の点を自問します。
- ソリューション種別: Salesforce に簡単にプラグインできるものを求めているのか? その場合は、おそらく Lightning コンポーネントなどのソリューションが適しています。それとも、ビジネス上の複雑な問題を解決するカスタムソリューションの構築を助けてもらいたいと思っているのか? この場合はコンサルタントが適しています。
- 機能: ソリューションで何をする必要があるか? 絶対に必要な機能、あれば便利な機能はどれか?
- 予算: 適切なソリューションであれば料金を支払う用意があるか? それとも無料でなければならないか? 有料リストの場合、どのような価格設定モデルが望ましいか? AppExchange では、一括払いとサブスクリプションの両方をサポートしています。
- 関係者のニーズ: ソリューションを使用するのは誰か? 関係者とミーティングを行い、そのニーズや求めていること、タイムラインを理解しておく必要があります。
- テスト: 最初にすべてをテストできる場所があるか? Salesforce では常に、ソリューションを本番組織にインストールする前に Developer Edition 組織または Sandbox でテストすることをお勧めしています。
- 技術的な考慮事項: ソリューションに、特定の Salesforce エディションまたは機能との互換性が必要か? 組織固有の特性を検討し、メモしておきます。
このすべてを Ursa Major の要件と比較してみましょう。
条件 | 要件 |
---|---|
ソリューションタイプ |
ソリューションかコンサルタントか? このプロジェクトはリソースが限られているため、細かな設定が不要ですぐに使用できるものが適しています。つまり、アプリケーションなどのソリューションがベストです。 |
機能 |
最も頻繁にログインしているのは誰かなど、ユーザーの採用データが必要です。そのユーザーが使用している機能も把握できればよいですが、必須ではありません。 |
予算 |
無料であることが望まれます。 |
関係者のニーズ |
収集したデータを Ursa Major のマネージャーと共有する必要があります。そのデータを図またはグラフで視覚化できることが望まれます。 |
テスト |
新機能の試行や Trailhead の Challenge に使用している Developer Edition 組織があります。 |
技術的な考慮事項 |
Lightning 対応で、Enterprise Edition と互換性のあることが求められます。 |
戦略が完成しました。次は、AppExchange エキスパートが最適なリストを絞り込む方法について学習します。準備ができたら、次の単元に進んでスキルを磨きましょう。