パートナーインテリジェンスを使ってみる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- パートナーインテリジェンスを定義する。
- パートナーインテリジェンスがビジネスにどのように役立つかを説明する。
- AppExchange パートナーインテリジェンス製品について説明する。
- Marketplace Analytics データと視覚化を操作する。
始める前に
このモジュールは、受講者が AppExchange の使用経験があり、AppExchange ソリューションと管理パッケージについてよく理解していることを前提としています。このバッジを最大限に活用するには、Salesforce コマンドラインインターフェース (CLI)、Apex、CRM Analytics などの Salesforce 開発者ツールの使用経験が必要です。
これらのツールの使用経験がない場合や復習が必要な場合は、このモジュールを開始する前に次の活動を完了してください。
- Trailhead プロジェクト「クイックスタート: Salesforce DX」に取り組む。
- Trailhead トレイル「CRM Analytics の作成と管理」を修了する。
- Trailhead モジュール「Salesforce DX を使用したアプリケーション開発」を受講する。
上記のアクティビティで、AppExchange アプリケーションとパッケージ開発の基本を学び、Trailhead Playground での Dev Hub の有効化と CLI のインストールを行い、CRM Analytics の概要を学ぶことができます。これらはすべて、このバッジで説明する概念を理解するのに役立ちます。
AppExchange パートナーの紹介: Get Cloudy
Get Cloudy Consulting チームは、Cloudy Health AppExchange ソリューションのバージョン 3.0 の開発に熱心に取り組んでいます。マーケティングマネージャーの Leung Chan はビジネスプランを作成しているところで、信頼できるデータを必要としています。Salesforce がパートナーインテリジェンスを提供していることを Salesforce パートナーコミュニティで知ります。
興味を抱いた Leung は、Get Cloudy のテクニカルアーキテクトである Robert Bullard に会いに行きます。Robert はパートナーインテリジェンスダッシュボードを作成できるでしょうか? 学習意欲が旺盛な Robert は、Salesforce でデータを取得してダッシュボードを作成する方法を学びたいと張り切ります。
Robert が何をどのようにして作成するかを確認するには、皆さんも各自のライセンス管理組織 (LMO) で Robert の手順に従って作業してみてください。
パートナーインテリジェンスを定義する
ビジネスインテリジェンス (BI) という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。BI では、ソフトウェアとサービスを使用してデータをアクション可能なインサイトに変換し、会社はそのインサイトに基づいてビジネス判断を下すことができます。
パートナーインテリジェンスは BI インサイトを提供しますが、さらに一歩踏み込んで、AppExchange パートナーの特定のデータニーズに焦点を当てています。Salesforce パートナーインテリジェンスツールは、次を提供します。
- AppExchange リスティングのパフォーマンスに関するデータ。
- 見込み客や顧客の行動の可視化。
- 管理パッケージとそのコンテンツの消費に関するインサイト。
この情報にアクセスするには、Marketplace Analytics と AppExchange App Analytics という 2 つのパートナーインテリジェンスツールが必要です。また、視覚化の作成には、どのレポートツールでも使用できますが、Salesforce の強力な分析ツールである CRM Analytics をお勧めします。
Salesforce のパートナーインテリジェンスツールを使用するには、Salesforce パートナープログラムに登録し、セキュリティレビュー済みソリューションが AppExchange にリストされている必要があります。新しい Salesforce パートナーは、Trailhead の「AppExchange パートナーの基本」モジュールを受講してください。
パートナーインテリジェンスツール |
ビジネス上のメリット |
アクセス方法 |
前提条件 |
---|---|---|---|
Marketplace Analytics |
見込み客やリードが AppExchange リスティングをどのように操作しているかを把握する。 |
|
Marketplace Analytics は、AppExchange にリストしているソリューションがあり、パートナーコミュニティに対する「Manage Listings (リスティングの管理)」権限を持つすべての AppExchange パートナーが使用できます。 |
App Analytics |
顧客が AppExchange 管理パッケージとそのコンテンツをどのように利用しているかを把握する。 |
管理パッケージで AppExchange App Analytics を有効にするには、Salesforce パートナーコミュニティでサポートケースを登録します。 他にもいくつか細かい点や必要なステップがありますが、それについてはこのモジュールの後半で説明します。 |
AppExchange App Analytics は、セキュリティレビューに合格し、ライセンス管理アプリケーション (LMA) に登録されているパッケージで使用できます。 |
CRM Analytics |
Salesforce 組織で社内データとソリューションの App Analytics データを組み合わせる。 |
Salesforce 組織で CRM Analytics を有効化します。 |
パートナービジネス組織 (PBO) 内で CRM Analytics の無料ライセンスが 2 つ提供されます。 |
パートナーインテリジェンスを詳しく調べるために、Leung はビジネスの質問を定義します。リスティングのパフォーマンス、カスタマーサクセス、機能の利用に重点を置くことにし、手早く質問をメモします。Robert は Leung の質問をパートナーインテリジェンス機能、主要業績評価指標 (KPI)、視覚化に対応付けます。
カテゴリ |
ビジネスの質問 |
パートナーインテリジェンスツール |
KPI |
視覚化 |
---|---|---|---|---|
リスティングのパフォーマンス |
AppExchange を検索してリスティングを見つけた顧客の割合は? |
Marketplace Analytics |
活動参照元別 AppExchange リスティング訪問数 |
Activity Source Timeline (活動参照元タイムライン) |
カスタマーサクセス |
エンゲージメントが高いか、顧客離れが多いか? |
App Analytics |
月次の有効ユーザー数 |
月別の有効ユーザー数の棒グラフ |
機能の利用 |
上位 25 の登録者は誰か? |
App Analytics |
顧客 ID 別ユニークユーザー数の合計 |
上位 25 の登録者の棒グラフ |
パートナーインテリジェンスデータを取得し、こうした質問だけでなく、ソリューションに固有の質問にも多数答えることで、AppExchange 戦略を立て、訪問数とインストール数を増やすことができます。
何はともあれ、必要なのはデータです。
Robert は Cloudy Health の AppExchange リスティングのパフォーマンスについて調べたいため、Marketplace Analytics から始めます。
Marketplace Analytics を調べる
Marketplace Analytics にアクセスするには、Salesforce パートナーコミュニティにログインし、[Publishing (公開)] タブをクリックします。
パートナーコンソールのホームページが読み込まれます。
[Your Analytics (あなたの分析)] セクションで [View Analytics (分析を表示)] をクリックします。
Marketplace Analytics が表示されます。タイルビュー数やタイルにマウスポインターを置いた数から、リードのイベント数やインストール数などのより深いエンゲージメントまで、Marketplace Analytics ではリスティングに対する顧客の主要なインタラクションがキャプチャされます。期間を選択して Activity Source Timeline (活動参照元タイムライン) を操作し、ソリューションのトラフィックの推移を確認できます。
検索条件を使用して、ソリューションと期間を選択します。たとえば、Robert は次の手順を実行します。
- [Select Listing (リスティングを選択)] 条件でリスティングを選択します (A)。
- [Time Period (期間)] 選択リストから [Last 30 Days (過去 30 日)] を選択します (B)。
-
[Apply (適用)] をクリックします。
Marketplace Analytics のメトリクスについての詳細を参照するには、2 つのオプションがあります。
- Marketplace Analytics の用語集を表示する場合は、 をクリックします。用語集には、トラフィックの参照元と活動が記述されています。
- メトリクスの定義についての詳細を参照する場合は、情報バブルにマウスポインターを置きます。
Activity Source Timeline (活動参照元タイムライン)
ダッシュボードのサマリーメトリクスのすぐ下に、Robert の Activity Source Timeline (活動参照元タイムライン) が表示されます。
大量のデータが含まれています。内容を次に説明します。
データ要素 |
説明 |
ビジネスユースケースに関する質問 |
---|---|---|
Tile Views (タイルビュー数) |
リスティングのタイルの表示回数 |
リスティングのタイルを表示した 1 日および 1 か月あたりの顧客の数は? |
Tile Hovers (タイルにマウスポインターを置いた数) |
リスティングのタイルにマウスポインターを置いた回数 |
リスティングのタイルにマウスポインターを置いて最初のインタラクションステップを実行した顧客の割合は? |
Visitors (訪問者数) |
リスティングのユニーク訪問者の数 |
どの参照元からどのくらいの顧客がリスティングに到達するか? |
Lead Events (リードのイベント数) |
リスティングのリードのイベント数 (デモ、機能制限トライアル、[Get It Now (今すぐ入手)] のクリック、インストールなど) |
リスティングのタイルを表示した顧客のうち、タイルをクリックしてリスティングに到達した割合は? |
Installs (インストール数) |
AppExchange、Web サイト、またはコードリポジトリから開始されたソリューションのインストールの回数。 |
誰が、どのトラフィックの参照元からソリューションをインストールしたか? [Get It Now (今すぐ入手)] をクリックしてソリューションをインストールした顧客の割合は? |
Activity Source Timeline (活動参照元タイムライン) の選択リストを使用して、参照元を調べ、活動に焦点を絞り、表示期間を変更します。
Activity Sources (活動参照元)
リスティングの活動を促進しているトラフィックの参照元を調べるには、Activity Sources (活動参照元) を確認します。
Top AppExchange Searches (上位の AppExchange 検索)
リスティングの活動を促進している用語を調べるには、Top AppExchange Searches (上位の AppExchange 検索) を確認します。デフォルトビューには訪問数とインストール数が表示されます。
Robert は [Activity (活動)] 選択リストを使用して [All (すべて)] を選択します。下にスクロールすると、すべての検索語が表示されます。
Customer Engagement (顧客エンゲージメント)
Customer Engagement (顧客エンゲージメント) グラフまでスクロールして、期間別に顧客活動を分析します。デフォルトビューは、リソース別です。リソースには、Web セミナーやケーススタディなどの AppExchange リスティング機能が含まれます。
Robert は [Activity (活動)] 選択リストから [Lead Events, Installs & Get It Now Clicks (リードのイベント数、インストール数、今すぐ入手クリック数)] を選択します。このメトリクスが四半期を通してどのように変化するかを確認するために、[View By (表示期間)] を [Day (日)] に設定したままにします。
Activity Summary by Region (地域別の活動の概要)
最後に、見込み客が世界のどこに住んでいるかを調べるには、下にスクロールして Activity Summary by Region (地域別の活動の概要) データを表示します。デフォルトで世界地図が表示されます。
地図上で薄い青 (訪問数が少ない) から濃い青 (訪問数が多い) で表示された国
Robert は [US Map (米国地図)] ボタンをクリックして、米国の州および領土ごとの訪問数の分布を表示します。
Marketplace Analytics データをエクスポートする
次に、Robert は後で CRM Analytics を使用して AppExchange App Analytics とライセンス管理アプリケーション (LMA) のデータと統合するために、データをカンマ区切り値 (CSV) 形式でダウンロードします。統合の手順については、次の 2 つの単元で説明します。
[Analytics (分析)] タブの上部までスクロールして戻り、[Export (エクスポート)] をクリックします。
Robert は検索条件を確認し、少し変更した後に [Export (エクスポート)] をクリックします。ダウンロードするデータは、視覚化で選択した検索条件に一致します。
Robert は、利用可能な CSV データを含む視覚化ごとに 1 つずつ、合計 4 つの CSV ファイルを取得します。Activity Summary by Region (地域別の活動の概要) データはエクスポートできません。後でアクセスできるように、CSV ファイルを便利な場所に保存します。
この単元では、パートナーインテリジェンスとは何かと、Salesforce が提供するパートナーインテリジェンス製品について学習しました。また、Marketplace Analytics についても学習し、視覚化を確認しました。次の単元では、AppExchange App Analytics について学習します。
リソース
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ISVforce ガイド: AppExchange パートナーの Analytics によるパフォーマンスの監視
-
Medium ブログ投稿: Salesforce Overview for ISVs (ISV のための Salesforce の概要)
-
Salesforce パートナーコミュニティ: Salesforce Partner Program Overview (Salesforce パートナープログラムの概要) (ログインが必要)
-
Trailhead: AppExchange パートナーの基本