Apex の使用開始
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- コードとは何かを定義する。
- コードを保存する場所と編集する場所を説明する。
- コードコメントを作成する 2 つの方法を説明する。
- コードコメントが重要な理由を説明する。
Salesforce に関する知識を広げて Apex コードについて学ぶことに関心がありますか? それなら、これはあなたにぴったりのモジュールです。コードを読み書きする世界へと、ガイドに従って段階的に進みましょう。最初は少し不安かもしれませんが、心配は要りません。きわめて複雑な概念でも易しく説明していきます。
システム管理者であるあなたは、すでに Salesforce 機能について知識と経験があり、現在の制限を理解しています。Flow Builder を使用してビジネスプロセスを自動化した経験があり、顧客にカスタマイズした最良のアプリケーションを提供しようという熱意があります。このモジュールでは、まずプログラミングの概念を紹介します。その後で例を各自がテストできます。
準備はよいですか? では始めましょう!
コードとは?
コードとは、人間がコンピューターと話すために使用する言語です。コードを使用して、特定のアクションを実行するための正確な命令のセットを記述します。コードは、言わばレシピのようなものです。料理が予想どおりにできあがるためには、それぞれの材料と指示が正確でなければなりません。
世界中の人々がさまざまな言語を使うのと同じように、コンピューターも JavaScript、Java、Ruby、Python など、さまざまな言語を使用します。プログラミング言語には多くの点で違いがありますが、どの言語も同じ基礎構造に基づいており、コンピューターで解釈してアプリケーションを作成できます。Apex プログラミング言語を学んでいけば、プログラミング構造も次第に理解できます。
Apex コードの保存場所
とはいっても、どこから始めればよいでしょうか? 重要なことから始めましょう。コードをどこに保存するかを知っておく必要があります。コードはファイルに保存されます。これらのファイルはローカル (PC や Mac 上) の場合も、クラウド (Salesforce 組織) の場合もあります。ローカルに保存して自動的にクラウドに同期することもできます。素晴らしいですね。
開発者コンソール
システム管理者ならば、おそらく開発者コンソールについて耳にしたことがあるでしょう。開発者コンソールは、開発者がコードのファイルの作成や編集に使用するツールです。このモジュールでは、全体を通して開発者コンソールを使用し、Salesforce 組織にコードを保存して実行します。見てみましょう。
開発者コンソールにアクセスする手順は、次のとおりです。
- まず、Trailhead にログインしていることを確認します。
- 次に、このページの右上にあるユーザーアバターをクリックし、ドロップダウンから [Hands-on Orgs (ハンズオン組織)] をクリックします。
- ユーザー名をクリックして組織を起動します。新しい組織を作成する場合、「Trailhead Playground の管理」モジュールで詳細を確認してください。
- Trailhead Playground で、 をクリックして [Developer Console (開発者コンソール)] を選択します。
開発者コンソールは開いたままにしておきます。このモジュール全体を通して、コードのテストに使用します。
擬似コードの作成
Salesforce システム管理者として参加するプロジェクトで最も重要な部分は計画です。計画することで、顧客のニーズを理解し、自分自身の考えを整理し、アプリケーションの開発時に発生しそうな問題を予測できるようになります。
プロジェクトの計画時、開発者は Apex コードの記述を開始する前に擬似コードを作成します。疑似コードとは、プログラムまたは機能で何を行う必要があるかを詳細かつ読みやすく記述したものです。プログラミング言語ではなく自然言語で記述します。擬似コードを使用すると、プログラマーでなくても各ステップをレビューして、提案されたコードがアプリケーションの要件を満たしていることを確認できます。開発者は、疑似コードを別のドキュメント、ホワイトボード、または開発者コンソールで作成します。
アプリケーションのプログラミング方法についての考えを開発者がドキュメント化するのに擬似コードの作成がどう役立つのか、感触を掴むために、友人にポット一杯の紅茶を淹れるための擬似コードを書いてみましょう。
- 開発者コンソールで、[File (ファイル)] > [New (新規)] > [Apex Class (Apex クラス)] を選択します。
- クラスの名前は
「Teatime」
(ティータイム) とします。 - [OK] をクリックします。
- クラスに名前を付けると、ウィンドウが開いて新しいクラスが表示されます。
- 次の命令をコピーして、上記の既存のクラスに貼り付けます。
Get Utensils and Ingredients Boil Water in a Tea Kettle Make Tea in Teapot Add Tea and Sugar to a Teacup Serve Tea to Friend
擬似コードの各ステートメント (命令) ではアクションを記述する必要があります。これらの命令をロボットに指示したら、ロボットは各ステップを正しく実行できると思いますか?
おそらく無理でしょう。ロボットは、入手すべき器具と材料、湯の沸かし方、加えるべき各材料の量を知る必要があります。この擬似コードにはさらに詳細が必要です。
- 開発コンソールに戻ります。
- 既存のコードを次のコードに置き換えます。
Get Utensils and Ingredients Get Teacup Get Spoon Get Tea Kettle Get Teapot Get Tea Get Sugar Boil water in a Tea Kettle Fill Kettle with Water Switch Kettle On Wait for Kettle to Boil Make Tea in Teapot Put Tea in Teapot Put Boiling Water in Teapot Wait 2 Minutes Add Tea and Sugar to Teacup Pour Tea in Teacup Put 1 teaspoon of Sugar in Teacup Stir Tea in Teacup Serve Tea to a Friend public class Teatime { }
あらゆるシナリオに対応できるように、擬似コードを記述するときには各ステップをできるだけ細かく分けます。たとえば、この擬似コードではケトルに水を満たすように指示しています。ケトルがすでに一杯だったら、どうすればよいでしょうか? ロボットは、そのままケトルに水を満たす必要がありますか? ケトルを空にする必要がありますか? 開発者のように考えるには、さまざまな視点から考えて複数の可能性を考慮する必要があります。
コードコメント
システム管理者として、説明のないカスタム項目を見たことがありますか? 項目に非常に明確で説明的な名前が付いている場合を除き、その目的がはっきりしないことがあります。コードでは、コメントでコードブロック (1 行以上のコード) の目的を説明します。コメントは、記述すべきコード、既存のコードの処理、失敗したコードが本来実行すべき処理を開発者が理解するのに役立ちます。コメントをコード内に組み込むときには、コンピューターがコメントを読み取ったり実行したりしないように特殊文字で囲みます。
では、コードにコメントを追加する 2 つの方法 (1 行のコメントと複数行のコメント) を見てみましょう。
1 行のコメント
1 行のコメントは 2 個のスラッシュ (//) で開始します。コンピュータープログラムは、実行時にその行で // より右側にある文字を無視します。例:
Integer i = 1; //This comment will be ignored when the code is run.
複数行のコメント
複数行のコメントは、スラッシュとアスタリスク (/*) で開始し、アスタリスクとスラッシュ (*/) で終了します。例:
Integer i = 1; /*This comment is ignored when the code runs*/
次は、Teatime 擬似コードをコメントにしましょう。コード開発を計画どおりに進めるために、アウトラインのように擬似コードを記述することをお勧めします。
- 開発者コンソールで、複数行のコメントを擬似コードに追加します。次のようになります。
/*Get Utensils and Ingredients Get Teacup Get Spoon Get Tea Kettle Get Teapot Get Tea Get Sugar Boil water in a Tea Kettle Fill Kettle with Water Switch Kettle On Wait for Kettle to Boil Make Tea in Teapot Put Tea in Teapot Put Boiling Water in Teapot Wait 2 Minutes Add Tea and Sugar to Teacup Pour Tea in Teacup Put 1 teaspoon of Sugar in Teacup Stir Tea in Teacup Serve Tea to a Friend*/ public class Teatime { }
- [File (ファイル)] | [Save (保存)] をクリックします。
このモジュールでは、Apex コードの記述時にベストプラクティスに従う方法を学習します。それによって、優れた開発者になるための基礎が築かれます。
滑り出しは順調です。次はコーディングを開始しましょう。