営業活動の自動化
学習の目的
- AI にとってデータが非常に重要である理由を説明する。
- AI によってどのように雑用がなくなり、営業担当の生産性が向上するかを説明する。
データ入力にかかる時間の削減
Sales Cloud Einstein のような AI ソリューションによって、営業担当の生産性はどのように向上するのでしょうか? AI によってチームの営業の生産性が向上することを営業統括責任者の Ava に納得してもらうには、この謎を解く必要があります。
あなたは廊下を急いで歩き、Honeydew 社の優れた営業担当、Chip Endip に会いに行きました。Chip に聞きました。「仕事の一部をアウトソーシングして生産性を上げられるとしたら、どの仕事をアウトソーシングしますか?」
Chip の回答は、追跡すべき最善のリードを判断すること、どの案件に最も注意する必要があるかを見つけ出すこと、更新されない危険性のある登録を判断することのいずれかになるだろうと思っていました。ただし、Chip の答えは、「データ入力」の 5 文字という単純なものでした。
誰もが知っていることですが、営業担当は雑用を嫌います。CRM レコードの作成、取引先責任者情報の更新、活動の記録はどれも、カスタマーリレーションを発展させるという、重要な営業活動に時間を割けなくなるからです。レポートによると、営業担当が顧客への実際の販売にかける時間は、全体の 50% 以下です。 つまり、営業担当は 1 日の大半を活動の記録や取引先責任者の入力のような管理業務に費やしているのです。
Honeydew 社の営業担当を対象とした最近の調査の結果、どれくらいの時間が雑用に費やされているかがわかりました。営業担当は、平均で仕事時間の約 3 分の 1 を営業活動の記録に費やしていると報告しています。

幸い、Sales Cloud Einstein には営業活動の記録や新規取引先責任者の作成を自動的に行う機能が含まれていることを Chip に教えてあげましょう。
AI の良し悪しはデータの質によって決まる
Sales Cloud Einstein は、営業担当の生産性を改善するため、営業担当の活動を検討して推奨事項とインサイトを提示し、営業担当を正しい方向に導きます。ただし、優れた推奨事項とインサイトの鍵は優れたデータです。
AI ソリューションにとって、データはどれくらい重要なのでしょうか。AI の専門家である Peter Norvig は、平凡なアルゴリズムでも、データが多ければ、優れたアルゴリズムでデータが少ない場合よりも、結果は適切になると言っています。Computerworld によると、AI の発展は主としてビッグデータセットが利用可能になったことによるものです。これが、さらに優れた AI へとつながっていきます。
これまでの AI ソリューションでは、テストという名の、設備が充実した「キッチン」で、データの「シェフ」がデータを選んで洗い、組み合わせてから、調理法に従って混ぜ合わせる必要がありました。すると、数か月後か数年後に、営業担当が実行に移すことができるインサイトが、オーブンから飛び出す、という仕組みでした。最近は、メール、カレンダー、CRM、電話というすべてのものから、膨大なデータポイントが作り出されます。この膨大な情報には、営業担当がリードにかけた電話、営業担当から取引先責任者へのメール、取引先に関する CRM データなど、営業担当のすべての活動についてのデータが含まれます。Sales Cloud Einstein は、そのすべてのデータを利用し、柔軟なアルゴリズムに送ります。結果はすぐに出ます。
(データ品質の重要性および組織のデータ品質の評価方法と改善方法の詳細は、「データ品質」モジュールを参照してください。)
Honeydew 社では、営業担当は就業日の間、常に刻々とデータの作成と更新を行っています。そのデータをすべて確認してみましょう。
営業活動 | データ例 | Source (ソース) |
---|---|---|
メール | 潜在顧客である Pomegranate 社とやり取りしたメール | Gmail |
Event | Pomegranate 社の CTO、Chet R. Cheez とのランチミーティング | Google カレンダー |
電話 | Chet とのフォローアップの電話 | Skype |
メモ | Chet とのミーティングのメモ | Salesforce |
作業 | Chet とベジタリアンレストランで行う、次のミーティングをスケジュールするためのアラーム | Salesforce |
リード | Chet のリードレコード | Salesforce |
営業チームは、Sales Cloud Einstein のような AI ソリューションに必要となる、すべてのデータをすでに生成しています。さて、どうしますか?
Einstein 活動キャプチャによるデータ入力の自動化
あなたは、わくわくしながら営業担当の Chip に話しました。「Sales Cloud Einstein なら雲の中の精霊のように、願いを叶えてくれます」。Sales Cloud Einstein の Einstein 活動キャプチャという機能を利用すれば、Chip やその部下は、活動の記録のような時間のかかる雑用をしなくてもよくなります。
営業担当が行うことは、メールとカレンダーを Salesforce に接続することだけです。接続すると、活動は Salesforce の関連レコードに自動的に追加されます。しかも、Salesforce から送信するメールは、通常のメールアカウントを経由します。
Chip やその部下は、Einstein 活動キャプチャにより、Gmail™、Microsoft® Office 365®、または Microsoft Exchange 2013/2016 のアカウントに接続できます。そのアカウントの活動は、Salesforce の法人取引先、個人取引先、取引先責任者、リード、商談、見積、契約に自動的に表示されます。
あなたは、Chip の部下の中でもトップクラスの営業担当、Sally Cho の活動が、まさしくどのように記録されているかを Chip に説明します。Sally が主要ビジネスパートナーの CTO、Sarah Loehr とやり取りしたメールと行動は、Salesforce の Sarah のレコードに自動的に追加されます。

Chip は、この機能に最初は大喜びしましたが、
まず心配事として浮かんだのはセキュリティでした。Honeydew 社の営業担当が潜在顧客とやり取りする多くのメールには、機密情報が含まれます。Chip は、誰もがその機密情報を利用できるようにしたくないのです。
幸運にも、Einstein 活動キャプチャでは、営業担当が、どの活動を Salesforce に追加して、誰がそれを表示できるかを制御できます。営業担当は、Salesforce または受信箱からいつでもこの制御を更新できます。
チップの次の心配事はレポートです。Honeydew 社の営業活動を 1 か所に保存できることは素晴らしいことです。ただし、Chip や部下の営業担当には、まったく新しい一連の営業活動レポートを作成する時間がありません。
幸い、Sales Cloud Einstein では、Einstein Analytics 上に構築された高度な分析ダッシュボードにアクセスできます。Salesforce システム管理者は、Einstein 機能の効果を評価できます。営業リーダー、営業マネージャ、営業担当は、Sales Analytics アプリケーションを使用してセールスデータに関する詳細なインサイトを収集できます。Sally を始め、Chip の部下数人の活動レポートを Chip に見せると、深く感動しているようでした。

それだけではありません。
Einstein 自動取引先責任者による取引先責任者作成の迅速化
Einstein 自動取引先責任者では、メールと行動活動が使用されて、新しい取引先責任者と取引先責任者の役割が検索され Salesforce に追加されます。システム管理者による機能の設定方法に応じて、Einstein は新規データを提案することも、自動的に追加することもできます。いずれの場合でも営業担当は営業に集中できます。
新しいデータが提案されたら、営業担当は数回クリックするだけでそのデータを容易に Salesforce に追加できます。
新しいデータが自動的に Salesforce に追加される場合、Einstein が新しいデータを追加したときに営業担当は通知を受けます。新規取引先責任者の場合、リストビューにどの取引先責任者が Einstein によって追加されたかが表示されます。
あなたは、Sales Cloud Einstein について調べたことを、営業統括責任者の Ava に伝えます。営業担当が活動の記録やデータの手動入力をしなくてすむとしたら、どれだけの時間を節約できるか想像してみてください。営業統括責任者は利点を理解し、あなたの勤勉さに明らかに感銘を受けましたが、まだ納得していません。雑用をなくすことは素晴らしいことですが、各営業担当の仕事の主要部分、つまりセールスプロセスで顧客が関わる部分の処理はどうなるのだろうか、と考えています。「Sales Cloud Einstein は、実際のところ、セールスプロセスの各ステップでどうやって営業担当の生産性を向上させるのですか?」営業統括責任者の Ava は聞きました。
別の難題が浮上したようです。何をすれば良いかわかっていますね。
読み進めて、AI によってセールスプロセスの各フェーズの生産性を本当に一変できるかどうかを確認してください。