Agentforce と Service Cloud の新機能
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ナレッジ記事に基づいて質問に答えるエージェントを構築する。
- エージェントをデジタルチャネルに接続する。
AI エージェントが役に立つかどうかの鍵は、アクセスできるデータにあります。ナレッジ記事を使用するように Agentforce データライブラリ (ADL) を設定すると、エージェントは豊富な情報源を検索できるようになり、質問に一貫して正確に回答できるようになります。
ナレッジ記事は信頼できる内部ドキュメントであり、顧客と従業員のどちらに対しても、AI が生成する応答の基盤となります。
データライブラリでナレッジ記事を使用する設定
Agentforce データライブラリは Data Cloud と連携し、企業コンテンツで AI をグラウンディングするための重要な役割を果たします。この更新は、Einstein for Sales、Einstein for Platform、または Einstein for Service アドオンが有効な Lightning Experience、Enterprise Edition、Unlimited Edition で利用できます。開始する前に次を確認してください。
- 組織で Data Cloud が有効化されていること。
- 「Data Cloud 管理者」権限セットを持っていること。
使用を開始するには次の手順を実行します。
- 新しいデータライブラリを作成して、一意でわかりやすい名前を付けます。
- ライブラリのデータソースを選択します。ナレッジ記事、ファイルのアップロード、Web 検索から選択できます。選択したデータソースは Data Cloud でインデックス化され、検索インデックスとレトリーバーが自動的に生成されます。AI エージェントがライブラリを使用すると、検索インデックスとレトリーバーが [Answer Questions with Knowledge (ナレッジを使用して質問に回答)] アクションで利用されます。
- データライブラリを機能に割り当てます。詳細については「データライブラリの設定」を参照してください。
- 本番組織へのリリース前にすべてが想定どおりに動作することを確認するため、Salesforce の Sandbox 組織でデータライブラリをテストします。Sandbox は開発、テスト、トレーニングを安全に行うための環境です。Agentforce データライブラリは、Developer、Developer Pro、Partial Copy、Full Copy のすべての Sandbox 種別でサポートされています。
エージェントをデジタルチャネルに接続する
AI サービスエージェントをデジタル顧客チャネルに接続すると、WhatsApp、Facebook Messenger などの主要なメッセージングプラットフォーム全体で自動的にサポートされます。この接続作業では、Service Cloud でのオムニチャネルルーティングの設定、サービスリリースの作成、会話の管理を行い、エージェントが顧客とシームレスにやり取りできるようにします。
前提条件とエディション
- Lightning Experience で利用できます。
- Einstein for Service、Einstein Platform、または Agentforce Service Agent アドオンを有効にしている Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition で利用できます。
- エージェントを管理するために必要なユーザー権限:
- 「Agentforce サービスエージェントの管理」権限および「AI エージェントの管理」権限、または
- 「アプリケーションのカスタマイズ」権限
- 「Agentforce サービスエージェントの管理」権限および「AI エージェントの管理」権限、または
サポートされる言語、モデル、および Trust Layer
Agentforce サービスエージェントは、米国英語、英国英語、オーストラリア英語、フランス語 (フランス、カナダ)、ドイツ語、日本語、スペイン語 (メキシコ、スペイン)、ポルトガル語 (ブラジル、ポルトガル) を含む 25 か国語を超える言語とロケールをサポートしています。また、ベータ版としてデンマーク語、フィンランド語、スウェーデン語、韓国語などもサポートしています。
サポートされる主要な大規模言語モデル (LLM) は OpenAI GPT-4o で、Einstein Trust Layer を介して統合されています。このレイヤーは重要な AI 安全機能を提供します。
- ゼロデータ保持ポリシー: 顧客データは、サードパーティによって保存されたりモデル学習に使用されたりしません。
- 動的グラウンディング: 応答では、信頼できる会社データまたは設定済みの知識ベースのみを参照することが保証されます。
- プロンプト防御: 有害または不正確な LLM 出力を検出して軽減します。
- 有害性検出: 潜在的に有害な応答を検出します。
- 監査とフィードバック: すべてのプロンプトと応答を記録し、可視性を確保してシステムの改善に役立てます。
サービスエージェントのリリースを設定する
Agentforce サービスエージェントのリリースには、Salesforce Service Cloud とメッセージングの複数の重要なコンポーネントが関与します。では、見ていきましょう。
メッセージングを有効化してオムニチャネルを設定する
- [Setup (設定)] > [Messaging Settings (メッセージング設定)] に移動し、[Messaging (メッセージング)] を [On (オン)] に切り替えます。
- ルーティング設定を作成します。[Quick Find (クイック検索)] ボックスに Routing Configurations (ルーティング設定) と入力して選択します。
- [New (新規)] をクリックします。
- 項目の値を次のように設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Routing Configuration Name (ルーティング設定名) | Agent Routing Configuration (エージェントルーティング設定) |
Developer Name (API 参照名) | Agent_Routing_Configuration |
Overflow Assignee (オーバーフロー割り当て先) | [空白のまま] |
Routing Priority (ルーティング優先度) | 1 |
Routing Model (ルーティングモデル) | Most Available (最も多く対応可能) |
Push Time-out (seconds) (転送タイムアウト (秒)) | [空白のまま] |
Capacity Type (業務量種別) | Keep default: Inherited (デフォルトを維持: 継承) |
Units of Capacity (業務単位) | 2 |
Percentage of Capacity (業務量率) | [空白のまま] |
- [Save (保存)] をクリックします。
次に、キューを作成します。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで [Queues (キュー)] を検索して選択します。
- [New (新規)] をクリックします。
- 次の値を設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Label (表示ラベル) | Messaging Queue (メッセージングキュー) |
Queue Name (キュー名) | Messaging_Queue |
Queue Email (メール) | [空白のまま] |
Send Email to Members (メンバーへのメールの送信) | Keep default: False (デフォルトを維持: False) |
Routing Configuration (ルーティング設定) | Agent_Routing_Configuration |
Selected Objects (選択されたオブジェクト) | Messaging Session (メッセージングセッション) |
Selected Members (選択済みのメンバー) | Admin User (管理ユーザー) |
- [Save (保存)] をクリックします。
次に、プレゼンス状況を定義します。
- [Quick Find (クイック検索)] ボックスに Presence Statuses (プレゼンス状況) と入力して選択します。
- [New (新規)] をクリックします。
- 次のように項目を設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Label (表示ラベル) | Available (使用可能) |
Developer Name (API 参照名) | Available (使用可能) |
Status Options (状況オプション) | Keep default: Online (デフォルトを維持: オンライン) |
Selected Channels (選択済みのチャネル) | Messaging (メッセージング) |
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで [Permission Sets (権限セット)] を検索して選択します。
- [New (新規)] をクリックします。
- 次のように項目を設定し、[Save (保存)] をクリックします。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Label (表示ラベル) | Agentforce Service Agent (Agentforce サービスエージェント) |
API Name (API 参照名) | Agentforce Service Agent (Agentforce サービスエージェント) |
Description (説明) | This permission set grants access to messaging and the Available Messaging Status. (この権限セットはメッセージングおよび「利用可能」メッセージング状況へのアクセスを許可します)。 |
License (ライセンス) | Keep default: None (デフォルトを維持: なし) |
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Apps (アプリケーション)] で [Service Presence Statuses Access (サービスプレゼンス状況のアクセス権)] をクリックします。
- [Edit (編集)] をクリックします。
- 作成してある [Available Service Presence Statuses (使用可能なサービスプレゼンス状況)] の [Selected (選択済み)] をオンにします。
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Manage Assignments (割り当ての管理)] をクリックします。
- [Add Assignments (割り当てを追加)] をクリックします。
- [Admin User (管理ユーザー)] の横にあるチェックボックスをオンにします。
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Done (完了)] をクリックします。
- [Setup Quick Find (設定クイック検索)] で Presence Configuration (プレゼンス設定) を検索して選択します。
- [New (新規)] をクリックします。
- 次のように項目を設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Presence Configuration Name (プレゼンス設定名) | Messaging Presence Configuration (メッセージングプレゼンス設定) |
Developer Name (API 参照名) | Messaging_Presence_Configuration |
Capacity (業務量) | 20 |
- その他の値はデフォルトのままにします。
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで、[Messaging Settings (メッセージング設定)] を検索して選択します。[New Channel (新規チャネル)] > [Start (開始)] > [Messaging for In-App and Web (アプリ内および Web のメッセージング)] をクリックします。
- 次のように項目を設定し、[Save (保存)] をクリックします。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Channel Name (チャネル名) | Agent Channel (エージェントチャネル) |
Developer Name (API 参照名) | Agent_Channel |
よくできました。ここからは、オムニチャネルルーティングフローを作成します。
メッセージをルーティングするオムニチャネルフローを構築する
Flow Builder を使用して Route to Agent (エージェントに転送) という名前のオムニチャネルフローを作成します。このフローの機能は次のとおりです。
- 関連する Messaging Session (メッセージングセッション) レコードを取得する。
- セッションを Agentforce サービスエージェントにルーティングする。
- オーバーフローやエージェントが利用できない場合に備えて代替キューを指定する。
- 設定が完了したら、このフローを有効化します。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで Flows (フロー) を検索して選択します。
- [New Flow (新規フロー)] > [Start From Scratch (最初から開始)] > [Next (次へ)] の順にクリックします。
- [Omni-Channel Flow (オムニチャネルフロー)] を選択し、[Create (作成)] をクリックします。
- [Toolbox (ツールボックス)] を開きます。
- [New Resource (新規リソース)] をクリックします。
- [Resources (リソース)] パネルを開きます。
- [New Resource (新規リソース)] をクリックします。
- 以下の変数を定義します。
リソース種別 | API Name (API 参照名) | Description (説明) | Data Type (データ型) | 入力で使用可能 | 出力で使用可能 |
|---|---|---|---|---|---|
変数 | recordId | The recordId is used to assign a messaging session to an Agent. (recordId は、メッセージングセッションをエージェントに割り当てるために使用されます。) | テキスト | チェック | チェックなし |
- [+] をクリックし、[Get Records (レコードを取得)] を選択します。
- [Get Records (レコードを取得)] アクションを次のように設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Label (表示ラベル) | Get Messaging Session (メッセージングセッションを取得) |
API Name (API 参照名) | Get_Messaging_Session |
Description (説明) | Get the related messaging session that you would like to route to an agent. (エージェントにルーティングする関連メッセージングセッションを取得します。) |
Data Source (データソース) | Salesforce Object (Salesforce オブジェクト) |
Object (オブジェクト) | Messaging Session (メッセージングセッション) |
Condition Requirements (条件の要件) | All Conditions Are Met (AND) (すべての条件に一致 (AND)) |
- 次のように条件を定義します。
Field (項目) | Operator (演算子) | Value (値) |
|---|---|---|
Id (ID) | Equals (次の値と等しい) | $recordId |
- [How Many Records to Store (保存するレコード数)] と [How to Store Record Data (レコードデータの保存方法)] はデフォルトのままにします。
- 開始要素の下の円にマウスを合わせ、[+] をクリックして [Route Work (作業を転送)] を選択します。
- [Get Records (レコードを取得)] アクションを次のように設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Label (表示ラベル) | Route to Agent (エージェントに転送) |
API Name (API 参照名) | Route_to_Agent |
Description (説明) | Route the messaging session to the Coral Cloud Agent (メッセージングセッションを Coral Cloud エージェントに転送します。) |
How Many Work Records to Route? (転送する作業レコード数) | Keep default: Single (デフォルトを維持: 単一) |
Record Id Variable (レコード ID 変数) | $recordId |
Service Channel (サービスチャネル) | Messaging (メッセージング) |
Route To (ルーティング先) | Agentforce Service Agent (Agentforce サービスエージェント) |
Agentforce Service Agent (Agentforce サービスエージェント) | Agentforce Service Agent (Agentforce サービスエージェント) |
Fallback Queue (代替キュー) | Select Queue (キューを選択) |
Fallback Queue Id (代替キュー ID) | Messaging Queue (メッセージングキュー) |
- [Save (保存)] をクリックします。
- 次の値を設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Flow Label (フロー表示ラベル) | Route to Agent (エージェントに転送) |
Flow API Name (フロー API 参照名) | Route_to_Agent |
- [Activate (有効化)] をクリックします。
フローをメッセージングチャネルに関連付ける
次に、作成した Route to Agent (エージェントに転送) フローと代替キューを使用するように、メッセージングチャネルのオムニチャネル設定を編集します。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで、[Messaging Settings (メッセージング設定)] を検索して選択します。
- Agent Channel (エージェントチャネル) を開きます。
- [Edit (編集)] をクリックし、次のように設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Routing Type (ルーティング種別) | Omni-Flow (オムニフロー) |
Flow Definition (フロー定義) | Route to Agent (エージェントに転送) |
Fallback Queue (代替キュー) | Messaging Queue (メッセージングキュー) |
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Activate (有効化)] をクリックし、使用条件に同意します。
埋め込みサービスリリースの作成と公開
エージェントを配布するために使用する埋め込みサービスリリースを作成します。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで Embedded Service Deployments (埋め込みサービスリリース) を検索して選択します。
- [New Deployment (新規リリース)] をクリックします。
- [Messaging for In-App and Web (アプリ内および Web のメッセージング)] を選択し、[Next (次へ)] をクリックします。
- [Web] を選択します。
- 次のようにリリースを設定します。
Field (項目) | Value (値) |
|---|---|
Embedded Service Deployment Name (埋め込みサービスリリース名) | Agent Web Deployment (エージェント Web リリース) |
API Name (API 参照名) | Agent_Web_Deployment |
Domain (ドメイン) | my.site.com |
Messaging Channel (メッセージングチャネル) | Agent Channel (エージェントチャネル) |
- [Save (保存)] をクリックします。
- [Publish (公開)] をクリックします。
重要な制限事項と考慮事項
- Agentforce サービスエージェントは、受信会話 (顧客が開始する会話) のみをサポートします。
- レコードのクエリ、項目の更新、メールのドラフトなど、一部の標準トピックやアクションはサポートされません。
- Agentforce API は現在、Data Cloud のデフォルトデータスペースのみをサポートしています。
- メッセージの文字数制限はチャネルによって異なります。
- Facebook: 2,000 文字
- LINE: 5,000 文字
- SMS: 912 文字 (特殊文字を含む場合はさらに少なくなります)
- WhatsApp: 4,096 文字
- Apple Messages for Business: 50,000 文字
- Facebook: 2,000 文字
- 顧客が短時間に複数のメッセージを送信した場合は、順番に処理されます。Web チャネルでのメッセージスパムを防止するための UI コードスニペットを使用してください。
