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Agentforce と Data Cloud の新機能

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • Agentforce データライブラリを使用してエージェントの応答の正確性を高め、回答をパーソナライズする。
  • Data Cloud のレトリーバーを使ってエージェントをグラウンディングする。

データライブラリで応答を強化

Agentforce データライブラリとは

Agentforce データライブラリは、生成 AI エージェントが正確で、コンテキストに即した、リアルタイムの応答を返せるように支援します。応答を強化する主な手段は 2 つあります。

  1. 検索条件を使用して内部の根拠データを取得するカスタムレトリーバー
  2. インターネットから関連する外部コンテンツを取り込むための Web 検索データライブラリ

これらの手段を組み合わせることで、AI エージェントは、幅広い顧客シナリオに対して、データポリシーの範囲内でインテリジェントな応答を行えるようになります。

カスタムレトリーバーと検索条件

カスタムレトリーバーでは、エージェントが応答に取り込むデータを取得する方法、場所、内容を定義できます。これにより、プロンプトが非常に関連性の高い構造化情報でグラウンディングされることが保証されます。

カスタムレトリーバーは Einstein Studio で設定でき、特定のデータサブセットを対象とする検索条件も設定できます。たとえば、「Hardware (ハードウェア)」というタグが付けられていて、言語が「German (ドイツ語)」の商品仕様のみを取得するように設定できます。

Einstein Studio でレトリーバーを管理するには、次のいずれかの権限が必要です。

  • 「Einstein Studio でのモデルの管理をユーザーに許可」
  • または、次のいずれかの権限セット:
    • 「Data Cloud 管理者」
    • 「Data Cloud マーケティング管理者」
    • 「Data Cloud データアウェアスペシャリスト」

使用を開始するには次の手順を実行します。

  1. Einstein Studio で [Retrievers (レトリーバー)] タブに移動します。[New Retriever (新規レトリーバー)] をクリックします。
  2. [Individual Retriever (個別レトリーバー)] を選択して [Next (次へ)] をクリックします。
  3. 取得元の検索インデックスを選択します。
    • 検索インデックスを含む Data Cloud データスペースを選択します。
    • 検索インデックスにリンクされたデータモデルオブジェクト (DMO) を選択します。
    • 使用する特定の検索インデックスを選択します。
  4. [Next (次へ)] をクリックして続行します。
  5. (省略可能) 検索結果を絞り込む検索条件を定義します。
    • [Filter Documents to Return (返されるドキュメントを絞り込む)] を選択して、最大 10 件の条件を指定します。
    • 条件の評価方法を選択します。
      1. [All Conditions Are Met (すべての条件に一致)] を選択して AND ロジックを適用します (例: Category (カテゴリ) = Hardware (ハードウェア) AND Language (言語) = German (ドイツ語))。
      2. [Any Condition Is Met (いずれかの条件に一致)] を選択して OR ロジックを適用します (例: Priority (優先度) = High (高い) OR Escalated (エスカレーション済み) = True)。
    • 各条件について、[Add Condition (条件を追加)] をクリックし、検索インデックスの項目を選択し、演算子を指定し、値を入力します。
  6. [Next (次へ)] をクリックして続行します。
  7. 返す情報とその件数を設定します。
    • 最大結果数。
    • プロンプトのグラウンディングに使用する項目
  8. [Next (次へ)] をクリックします。
  9. (省略可能) 以下を有効化します。
    • 引用の表示 (ユーザーがデータの出所を追跡できるようにする)
    • クエリ変換や結果の要約などの高度な設定
    • プロコードレトリーバー (独自の SQL クエリを記述する場合)
  10. レトリーバーを確認して保存します。ユースケースがわかるような名前を付けます。バージョンを有効化するまで、レトリーバーはプロンプトテンプレートでは使用できませんので注意してください。

個別レトリーバーを作成すると、Einstein Studio は最初のバージョンを作成します。レトリーバーを編集して保存するたびに、新しいバージョンが作成されます。

Agentforce データライブラリで Web 検索を使用

エージェントにリアルタイムの Web データを取得させたい場合は、データライブラリの一部として Web 検索を有効化します。この機能は、時事、市場価格、世界的な動向など、最新の情報と連動する回答が必要な場合に役立ちます。この設定を行うと、システムは検索エンジンから最新の Web 結果 (タイトル、URL、スニペット、公開日を含む) を取得し、そのコンテンツをデータライブラリでインデックス化して、エージェントが正確で最新の情報を応答に参照できるようにします。この機能を使用するには、Lightning Experience、Enterprise Edition または Unlimited Edition を使用していて、Einstein for Sales、Einstein for Platform、または Einstein for Service アドオンを有効にしている必要があります。

メモ

General FAQ (一般的な FAQ) トピックの機能は General Web Search (一般的な Web 検索) トピックに置き換えられるため、Agentforce データライブラリで Web 検索を使用する場合は、General FAQ (一般的な FAQ) トピックを削除する必要があります。

使用を開始するには、次の手順を実行します。

  1. [Agentforce Data Library (Agentforce データライブラリ)] で [New Library (新規ライブラリ)] をクリックします。
  2. 名前と説明 (省略可能) を入力します。[Save (保存)] をクリックします。
  3. [Data Type (データ型)] で [Web Search (Web 検索)] を選択します。
  4. [Add Web Source Data (Web ソースデータを追加)] をオンにします。

[Web Source Data (Web ソースデータ)] ウィンドウに [Turn on Web Search (Web 検索を有効化)] がオンの状態で表示されます。

これにより、会話中に Web コンテンツを検索するようライブラリが設定されます。

エージェントに Web 検索を追加する

  1. [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで [Agentforce Agents (Agentforce エージェント)] を検索して選択します。
  2. 既存のエージェントを更新する場合は、選択して [Open in Builder (ビルダーで開く)] をクリックし、変更できるように無効化します。または、次の手順で新しいエージェントを作成します。
  3. 新しいエージェントを作成するには、[New Agent (新しいエージェント)] をクリックし、設定手順を完了します。[Select Data Sources (データソースを選択)] のステップで、必ず Web 検索データライブラリを追加します。

[Data Library (データライブラリ)] メニューから [ADL WebSearch Agent Library (ADL Web 検索エージェントライブラリ)] が選択されている [Select Data Sources (データソースを選択)] ウィンドウ。

  1. 次に、[New (新規)] > [New Topic (新規トピック)] をクリックして新しいトピックを作成します。
  2. [What do you want this topic to do? (このトピックでどのような処理を行いますか?)] に General Web Search (一般的な Web 検索) と入力します。
  3. [Next (次へ)] をクリックします。
  4. [Classification Description (分類の説明)] に次のように入力します。
    This topic is about enabling the agent to perform real-time web searches to obtain specific information about things but not about company policy, rules or anything related to this company. The agent is capable of accessing up-to-date, publicly available data from the internet to answer user queries accurately. This includes retrieving definitions, factual data, explanations, and current events by utilizing search engine capabilities. (このトピックは、エージェントがリアルタイムで Web 検索を実行して物事に関する特定の情報を取得できるようにするものですが、会社の方針や規則といった会社に関連する情報は取得しません。エージェントは、インターネットで公開されている最新のデータにアクセスして、ユーザーの質問に正確に回答できるようになります。その際には、検索エンジン機能を利用して、定義、事実データ、説明、時事などを取得することもあります。)
  5. [Scope (範囲)] に次のように入力します。
    Your job is limited to accessing publicly available and non-confidential information. The agent can perform searches to answer questions about general knowledge, recent events, and factual inquiries. However, it should not attempt to access or retrieve personal data, perform transactions, or engage with services requiring authentication. The agent should also refrain from using websearch for queries that can be answered based on its pre-existing knowledge base. Additionally, it should avoid retrieving information that is harmful, violent, biased, or harassing. (あなたの仕事は、機密ではない公開情報へのアクセスに限定されます。エージェントは、一般知識、最近の出来事、事実に関する質問に答えることを目的とした検索を実行できますが、個人データへのアクセスや取得、取引の実行、認証が必要なサービスとのやり取りを試みることはできません。また、既存の知識ベースで回答できる質問については Web 検索を使用しないでください。さらに、有害な情報、暴力的な情報、偏った情報、または嫌がらせとなる情報の取得も避けてください。)
  6. 9 つのトピック指示を追加し、既存のテキストをすべて次の内容に置き換えます。
    • If the customer’s question is too vague or general, ask for more details and clarification to give a better answer. (顧客の質問があいまいまたは一般的すぎる場合は、より良い回答を返せるように詳細の提供や質問の明確化を求めます。)
    • If you are unable to help the customer even after asking clarifying questions, ask if they want to escalate this issue to a live agent. (質問の明確化を求めても顧客に役立つ回答を返せない場合は、この問題を人間のエージェントにエスカレーションするかどうかを顧客に確認します。)
    • Include sources in your response when available from the knowledge articles, otherwise proceed without them. (ナレッジ記事に基づいて回答できる場合は、回答に出典を含めます。そうでない場合は出典は不要です。)
    • Determine if the user’s query requires fresh data that may not be available in the pre-existing knowledge base, such as recent news, factual updates, or specific information about an entity. (ユーザーの質問が、最近のニュース、新しい事実、特定の人物や組織に関する情報など、既存の知識ベースには存在しない最新のデータを必要としているかどうかを判断します。)
    • If multiple sources provide conflicting information, highlight this to the user and provide the most reliable sources. (複数の情報源から矛盾している情報が取得された場合は、その旨をユーザーに伝え、最も信頼できる情報源を提示します。)
    • Summarize and present the information in an understandable format, ensuring relevance to the original query. (情報を要約して、元の質問に関連するように理解しやすい形式で提示します。)
    • Avoid searching for or displaying sensitive or personal data. Only use publicly available information. (機密性の高いデータや個人データを検索したり表示したりせず、必ず公開されている情報のみを使用してください。)
    • Ensure that the information retrieved is not harmful, violent, biased, or harassing the customer. (取得した情報が顧客にとって有害であったり、暴力的であったり、偏っていたり、または嫌がらせとなったりするものでないことを確認します。)
    • If a query does not fit the Websearch criteria or can be answered with existing knowledge, refrain from performing a web search and use the agent’s built-in resources instead. (Web 検索の条件に合わない質問や、既存のナレッジ記事に基づいて回答できる質問の場合は、Web 検索を行わず、エージェントの組み込みリソースを使用します。)

[Label (表示ラベル)]、[Classification Description (分類の説明)]、[Scope (範囲)]、[Instructions (指示)] の項目が表示されている [Create a Topic (トピックを作成)] ウィンドウ。

[Instructions (指示)] に 7 つ項目が表示されている [Create a Topic (トピックを作成)] ウィンドウ。

  1. [Next (次へ)] をクリックします。
  2. [Actions (アクション)] で [Answer Questions with Knowledge (ナレッジを使用して質問に回答)] アクションを選択して、[Finish (完了)] をクリックします。

アクション表示ラベルと対応する指示のリストが表示されている [Add Available Actions (利用可能なアクションを追加)] ウィンドウ。

  1. 利用可能なアクションを追加し、[Answer Questions with Knowledge (ナレッジを使用して質問に回答)] が選択されていることを確認します。
メモ

[Answer Questions with Knowledge (ナレッジを使用して質問に回答)] アクションを使用できるトピックは、各エージェントで 1 つだけです。アクションが表示されない場合は、すでに別のトピックに割り当てられていないか確認してください。

  1. Web 検索を有効にするには、General FAQ (一般的な FAQ) トピックを削除する必要があります。[Topics (トピック)] パネルで General FAQ (一般的な FAQ) トピックを見つけて、ドロップダウンメニューを開いて [Remove from Agent (エージェントから削除)] を選択します。
  2. エージェントを有効化しますこれで、Web 検索データライブラリを使用してエージェントをテストできます。

Data Cloud でエージェントをグラウンディングする

グラウンディングが重要な理由

エージェントをグラウンディングすることは、関連性の高い現実世界のデータにエージェントの応答を結び付けることを意味します。Data Cloud のレトリーバーをプロンプトテンプレートに統合すると、正確で信頼できる回答を返すためのコンテキストを AI アシスタントに付与できます。

たとえば、内部の知識ベースを使用して、エージェントが取引先のビジネス、サービス、または優先事項を説明できるようにすることができます。これは、コンテキストが重要となる営業やサービスなどの業種で特に効果を発揮します。

プロンプトテンプレートにカスタムレトリーバーを追加する

プロンプトビルダーでは、カスタムレトリーバーを [Field Generation (項目生成)] プロンプトテンプレートに追加できます。これにより、関連データを直接プロンプトに組み込んで、LLM がより賢くコンテキストを理解した出力を生成できるようになります。

ここでは、レトリーバーを使用して取引先の説明を生成するプロンプトを構築する方法を説明します。

  1. プロンプトビルダーで新しいプロンプトテンプレートを作成します。
  2. [Prompt Template Type (プロンプトテンプレート種別)] ドロップダウンから [Field Generation (項目生成)] を選択します。
  3. プロンプトテンプレートに「ESearch_AcctDescription」という名前を付けます。
  4. [Description (説明)] 項目は空白のままにします。
  5. リソースを定義します。[Object (オブジェクト)] で [Account (取引先)] を選択します。
  6. [Object Field (オブジェクト項目)] で [Account Description (取引先 説明)] を選択します。
  7. [Next (次へ)] をクリックしてプロンプトテンプレートワークスペースを開きます。

プロンプトの指示とレトリーバーを追加する

  1. サンプルプロンプトテンプレートライブラリで Draft an Account Description (取引先の説明のドラフト作成) というテンプレートを探し、ワークスペースに貼り付けます。
  2. 指示を修正します。指示に次の文を追加します。Use the following information that’s related to the account: (取引先に関連する次の情報を使用してください)
  3. [Prompt (プロンプト)] セクションで [Insert Resource (リソースを挿入)] をクリックします。
  4. 以下を選択します。
    • データソースとして [Einstein Search (Einstein 検索)]
    • 自分のデータモデルオブジェクト (例: myAccountDescription_DMO)。
    • 自分のレトリーバー (例: ESearchAccountDescription)。
  5. [Preview Settings (設定をプレビュー)] パネルで [Search Text (検索テキスト)] 項目をクリックします。
    • account name: と入力し、検索項目で Account Name (取引先名) を検索します。
    • 次に account industry: と入力し、検索項目で Account Industry (取引先業種) を検索します。
      検索テキストは次のようになります。
      account name: Input.Account.Name
      account industry: Input.Account.Industry
  6. [Search Text (検索テキスト)] で検索語句を定義します。例: account name: Input.Account.Name および account industry: Input.Account.Industry。
  7. [Output Fields (出力項目)] で [Chunk (チャンク)] を選択します。
  8. [Number of Results (結果数)] を 10 に設定します。
  9. [Save (保存)] をクリックします。
  10. プロンプトテンプレートを実行し、LLM が生成した説明を確認します。
    • [Preview Settings (設定をプレビュー)] ボタンをクリックします。
    • [Inputs (入力)] で、[Accounts (取引先)] 検索バーから取引先を検索して選択します。
    • [Configure Response (応答を設定)] および [Display (表示)] セクションで、[Generate Response (応答を生成)][Display Prompt (プロンプトを表示)][Display Resolution (解決を表示)] が、テストの目的に応じて選択または選択解除されていることを確認します。
    • [Preview (プレビュー)] をクリックします。応答を確認します。

これで、取引先に関連するコンテンツの関連性の高いチャンクを 10 件取得して、高品質の説明を生成するプロンプトが設定されました。

カスタムレトリーバーに検索条件を追加する

検索条件を使用することで、レトリーバーが返すデータをより細かく調整でき、プロンプトが関連性のある結果のみに基づくことを保証できます。たとえば、Category (カテゴリ) = Hardware (ハードウェア) AND Language (言語) = German (ドイツ語) の場合にのみ商品ドキュメントを取得するように指定できます。

Einstein Studio で検索条件を追加する

Einstein Studio でレトリーバーを作成または編集する際に、[Filter Documents to Return (返されるドキュメントを絞り込む)] セクションに移動します。

  1. 検索条件の適用方法を選択します。
    • All Conditions Are Met (すべての条件に一致) (AND ロジック)
    • Any Condition Is Met (いずれかの条件に一致) (OR ロジック)
  2. 最大 10 件の検索条件を追加します。各条件について以下を行います。
    • 項目を選択します (テキストまたは数値のみ)。
    • 演算子を選択します (equals (次の文字列と一致する)、contains (次の文字列を含む)、greater than (次の値より大きい) など)。
    • 値を入力します。
  3. 検索条件を適用したら、[Next (次へ)] をクリックしてレトリーバーの設定を続行します。
メモ

メモ: 検索インデックスに検索条件項目が定義されている場合のみ、検索条件を使用できます。

リソース

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