Agentforce の最新コンセプト
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Agentforce ユーザーのセキュリティを管理する。
- テストセンターを使用してエージェントをテストする。
- エージェントを Sandbox 組織から本番組織にリリースする。
- テスト作成の手順を説明する。
認定資格を更新する
Agentforce スペシャリスト資格を保有している場合、その資格を維持するためには期日までにこのモジュールを修了する必要があります。
この資格の取得を検討している方は、認定 Agentforce スペシャリスト資格をご確認ください。
認定資格の信頼性を守る
Salesforce は、質の高い認定試験と価値ある資格を提供することを最優先事項としています。試験のセキュリティと機密の保護は、業界をリードする評価の高い認定資格をお客様に提供するために不可欠です。
Salesforce 認定資格プログラムに参加する場合は、「Salesforce 認定資格プログラム同意書」に同意いただく必要があります。詳細は、Trailhead ヘルプ記事「Salesforce 認定資格プログラム同意書および行動規範」に記載の Salesforce 認定資格試験の受験ポリシーを確認してください。
この 1 年間にすばらしい機能強化が導入されています。その中で特に重要なものについて説明します。
検索条件でトピックとアクションへのエージェントアクセスを制御する
2025 年 3 月から、Agentforce でトピックとアクションの検索条件を作成して、エージェントによるアクセスを、指定された条件を満たすトピックやアクションのみに制限できるようになりました。これまでは、エージェントはすべてのトピックとアクションに制限なくアクセスできていました。現在では、検索条件とコンテキスト変数を使用して、トピックやアクションへのエージェントのアクセスを制御できます。
検索条件を使用すると、機密性の高いワークフローや条件付きワークフローへのエージェントのアクセスを安全に管理できます。
これは、特にカスタマーチャンネルのサービスエージェントで特に便利です。セキュリティ要件に合わせて顧客検証トピックを設定してカスタマイズしたら、検索条件を作成して、トピックやユーザーに代わってタスクを実行するアクションへのアクセスを制御できます。たとえば、ユーザーのケース状況が「エスカレーション済み」の場合にのみケース管理トピックを有効にしたり、ユーザーの注文が過去 30 日以内に受領されている場合にのみエージェントが返品処理を開始できるようにしたりできます。
検索条件の使用を開始するには、次の手順を実行します。
- コンテキストパネルからエージェントに変数を追加します。これらが検索条件として使用されます。
- [Filters (検索条件)] タブに移動し、検索条件を作成します。
検索条件を作成したら、次の手順でトピックやアクションに適用します。
- [Topics (トピック)] パネルで、アクセスを制御したいトピックやアクションの詳細ページを開きます。検索条件を適用します。これで、このエージェントでのみ、そのトピックまたはアクションに対する検索条件が有効になります。
- 検索条件が満たされると、エージェントはそのトピックやアクションにアクセスして使用できるようになります。
この更新は、Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition の Lightning Experience に適用されます。
顧客検証によってエージェントを保護する
Agentforce におけるセキュリティは、認証だけではありません。エージェントエクスペリエンスでのアクションへのアクセスを制御することもできます。そこで重要な役割を果たすのが顧客検証トピックです。このトピックにより、検証済みのユーザーだけが、エージェントを通して機密性の高い会話を開始したり、リスクの高いアクションを実行したりできるようになります。
検証を必須とするトピックやアクションを定義して、組織固有のセキュリティポリシーに基づいてアクセスを調整できます。たとえば、セルフサービスチャネルを通して予約サービスを提供している場合は、予約の変更、支払い情報の確認、返金リクエストといった操作を許可する前に、ユーザーの本人確認を行うことが望ましいと言えます。
しくみは次のとおりです。未検証のユーザーが保護されたトピックやアクションにアクセスしようとすると、エージェントは自動的に顧客検証トピックを起動します。そしてエージェントは以下を実行します。
- ユーザーのメールアドレスまたはユーザー名を要求する。
- メールでワンタイムパスコード (OTP) をユーザーに送信する。
- ユーザーが OTP を正しく入力することで検証を行う。
このステップを追加することで、不正アクセスや不正な変更のリスクを大幅に減らすことができます。
テストセンターを使用してエージェントをテストする
生成 AI を利用したエージェントを公開する前に、あらゆる状況で正しく動作することを保証する必要があります。そこで役立つのが Agentforce テストセンターです。これは、次の方法でエージェントの正確さと信頼性を大規模に評価できる新機能です。
- 単純な CSV テンプレートを使用して一括テストを実行
- 生成 AI を使用してテストシナリオを作成
- 1 回のテストで最大 1,000 件のケースをテスト
- 10 時間以内に最大 10 件のテストジョブを実行
テストセンターを利用することで、開発サイクルを短縮し、初日から顧客のニーズに応えられる信頼性の高いエージェントを構築できます。
テストセンターは使いやすさと柔軟性を重視して設計されています。事前に用意されたテンプレートを使用してテストデータが入った CSV ファイルをアップロードするか、または生成 AI でテストシナリオを作成できます。これは、一般的な Salesforce オブジェクトやナレッジ記事に基づいた応答をテストする場合に特に有効です。テスト結果では成功と失敗がピンポイントで特定されるため、エージェントを本番環境で公開する前に微調整できます。
テストを作成して実行する
独自のテストシナリオを作成する場合は、提供されている CSV テストテンプレートを使用して開始します。[Utterances (発言)] 列には値を入力し、少なくとも 1 つの列を追加してください。期待値には、トピックやアクションの表示ラベルではなく API 参照名を使用します。これらの API 参照名は Agentforce Builder で確認できます。テストファイルに空白の項目があると、すべて失敗として扱われますので注意してください。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索ボックス)] で [Testing Center (テストセンター)] を検索して選択するか、または Agent Builder で [Batch Test (一括テスト)] をクリックします。
- [New Test (新規テスト)] をクリックします。
- テストに名前を付けます。
- エージェントを選択して、説明を入力します。
- [Next (次へ)] をクリックします。
- (省略可能) ユーザープロファイル、場所、チャネルなどのコンテキスト変数を設定することで、さまざまなユーザー環境をシミュレーションできます。会話履歴を含めるようにすることも可能です。
- [Next (次へ)] をクリックします。
- テストケースは AI を使用するか、自分のシナリオを使用して作成することができます。AI 生成のテストケースの場合、関連するトピックやアクションに基づいてテストケースを作成するか、そのエージェントが利用できるAgenfoce データライブラリにあるデータに基づいてテストケースを作成することができます。次のいずれかを選択します。
- Topics and Actions (トピックとアクション): テストしたいトピックを選択して最大 1,000 件のテストケースを作成できます。目的と範囲を AI に指示する説明を追加したら、[Next (次へ)] をクリックします。
- Agentforce Data Library (Agentforce データライブラリ): データライブラリを指定して、そのエージェントの知識に基づくテストケースを最大 100 件まで作成できます。説明を追加してトピックを選択したら、[Next (次へ)] をクリックします。
- Upload CSV (CSV をアップロード): テストテンプレートを使用して、最大 1,000 件のカスタムテストケースをアップロードできます。[Utterances (発言)] 列に少なくとも 1 つ以上のデータを含めてください。トピックとアクションには (表示ラベルではなく) API 参照名を使ってください。三参照名は Agentforce Builder を探してください。
- [Generate Test Cases (テストケースを生成)] をクリックし、テストセットを確定して作成します。
- テストを再実行するには、テストリストから対象を探し、ドロップダウンメニューで [Run Again (もう一度実行)] を選択します。
Agentforce テストセンターは、エージェントが顧客とやり取りを始める前に、強力でスケーラブルなテスト手段を提供します。現時点では、Lightning Experience と Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition で利用できます。必要な追加ライセンスはエージェントの種類によって異なります。テストするシナリオが数十件でも数千件でも、何が機能していて何が機能していないかを特定できるため、エージェントを改善して、ユーザーが信頼できるエクスペリエンスを提供できます。
変更セットを使用してエージェントをリリースする
エージェントを本番環境で使用する準備が整ったら、Sandbox 組織から本番組織にリリースします。この作業は、構成メタデータ用の標準リリースツールである Salesforce の変更セットを使用して行います。変更セットは Salesforce Classic と Lightning Experience の両方で利用できます。また、Enterprise Edition、Performance Edition、Professional Edition、Unlimited Edition、Database.com Edition でも利用できます。
Salesforce で変更セットを操作するには、特定のユーザー権限が必要です。
- リリース接続を編集するには、「変更セットのリリース」権限と「メタデータ API 関数を使用したメタデータの変更」権限の両方が必要です。
- 送信変更セットを使用するには、[変更セットの作成とアップロード] 権限が必要です。
- 受信変更セットをリリースするには、「変更セットのリリース」権限と「メタデータ API 関数を使用したメタデータの変更」権限の両方が必要です。
現在の組織から別の組織にカスタマイズ内容を移行するには、送信変更セットを作成します。受信側の組織では受信変更セットとして表示されます。2 つの組織間で変更セットを送信するにはリリース接続が必要です。リリース接続は、同じ本番組織に関連付けられている組織 (例: 本番組織とその Sandbox 組織、同じ本番組織から作成された 2 つの Sandbox 組織) の間にのみ存在します。
変更セットを使用して、エージェントがさまざまなシナリオに対応するための指示であるプロンプトテンプレートをリリースすることもできます。Lightning Experience の Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Edition で、Einstein for Sales、Einstein for Platform、Einstein for Service アドオン、または Agentforce 基盤機能を有効にしている場合に利用できます。
ソース Sandbox 組織から変更セットを作成してアップロードする
- Sandbox 組織にログインします。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで、[Outbound Change Sets (送信変更セット)] を検索して選択します。
- [New (新規)] をクリックして新しい変更セットを作成します。
- わかりやすい名前と説明を入力して、[Save (保存)] をクリックします。
- [Change Set Components (変更セットコンポーネント)] セクションで [Add (追加)] をクリックしてコンポーネントの選択を開始します。
- 適切な [Component Type (コンポーネント種別)] を選択します (例: 生成 AI 関数定義、生成 AI プランナー定義、生成 AI プラグイン定義、生成 AI プロンプトテンプレート)。リリースする項目を選択して、[Add to Change Set (変更セットに追加)] をクリックします。
- [Change Set Detail (変更セットの詳細)] セクションで [Upload (アップロード)] をクリックし、対象の組織 (通常は本番組織) を選択してから再び [Upload (アップロード)] をクリックします。
- 変更セットのアップロードが完了すると、確認メールが届きます。
対象の本番組織で変更セットをリリースする
- 対象の本番組織にログインします。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスで [Inbound Change Sets (受信変更セット)] を検索して選択します。
- [Change Sets Awaiting Deployment (リリース待ちの変更セット)] で、アップロードした変更セットの名前をクリックします。
- [Validate (検証)] をクリックして問題がないか確認します。リリースが成功するためのコードカバー率の最小要件である 75% を満たしていることを確認します。
- 検証が完了したら、[Deploy (リリース)] をクリックしてリリースプロセスを完了します。
ヒント: リリース前に再び検証ステップを実行することで、すべてが正しく定義され、リリースの準備が整っていることを確認できます。
エージェントのバージョン管理: 中断なく安全に作業する
生成 AI を利用したエージェントを本番組織にリリースすることは、単にエージェントを公開するということだけではなく、エージェントの信頼性を保証し、柔軟性の維持して、リスクを最小限に抑えることを意味します。新機能をリリースする場合でも、安定したバージョンにロールバックする場合でも、Agentforce には厳格かつ確実にエージェントを管理するためのツールが揃っています。その 1 つがエージェントのバージョン管理です。
エージェントのバージョン管理を使用すると、稼働中のバージョンを中断することなく更新をテストできます。本番組織への公開の準備が整ったら、Salesforce の変更セットを使用して、エージェントを複数の環境に簡単にリリースできます。エージェントは最大 20 バージョンまで作成でき、同時に有効にできるのは 1 バージョンのみです。これにより、本番組織を安定させたまま反復や試行を柔軟に行うことができます。
同時に有効にできるエージェントのバージョンの数は、エージェントの種別によって異なります。たとえば、Agentforce (デフォルト) 種別では、1 つのバージョンしか有効にできません。
エージェントのバージョンを管理するには、次の手順を実行します。
- [Agentforce Agents Setup (Agentforce エージェントの設定)] ページに移動して、更新するエージェントの横にあるドロップダウンをクリックします。
- [Clone Version (バージョンをコピー)] を選択して新しいバージョンを作成するか、[Delete Agent Version (エージェントバージョンを削除)] を選択して既存バージョンを削除します。
Agentforce Builder とエージェントの [Details (詳細)] ページのどちらでも、エージェントのバージョンを簡単に切り替えることができます。
エージェントのバージョン管理は、ソフトウェアのバージョン管理と同じようなものと考えてください。新しいバージョンを作成すると、次のことが可能になります。
- 現行の本番組織バージョンに影響を与えずに安全に変更をテストできます。
- リリース前に拡張機能をステージングできます。
- 必要に応じて復元できるようにバックアップを保存できます。
必要な権限
エージェントのバージョンを管理するには、次の権限が必要です。
ユーザーに必要な権限 | |
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Agentforce (デフォルト) のバージョンを管理する場合: | 「AI エージェントの管理」および「Agentforce デフォルトエージェントの管理」 または 「アプリケーションのカスタマイズ」 |
その他の AI エージェント種別のバージョンを管理する場合: | 「AI エージェントの管理」および該当するエージェント種別に必要な権限 または 「アプリケーションのカスタマイズ」 |