エージェントのファイルベースライブラリを構築する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- [Setup (設定)] からデータライブラリを作成して設定する。
- Agentforce Builder からデータライブラリを作成または追加する。
Agentforce の初心者でもベテランのユーザーでも、Agentforce データライブラリは簡単に設定できます。必要なのは、Salesforce システム管理者権限と、Agentforce データライブラリを有効化するための十分な権限だけです。ただし、Salesforce システム管理者でなくても大丈夫です。このまま読み進み、本番組織または Sandbox 組織でシステム管理者が手順をどのように実行するかを学んでください。Sandbox は、データライブラリを使ってエージェントを安全にテストできる場所です。試してみるには、「Sandbox でのデータライブラリのテスト」を参照してください。
Coral Cloud Resorts の事例
Coral Cloud Resorts は世界有数の観光地でホテル事業を展開するホスピタリティ企業です。同社は AI エージェントの導入を実験的に進めており、今のところうまくいっています。Coral Cloud Resorts のシステム管理者である Becca は、エージェントがより具体的な質問に回答したり、会社独自のポリシーに基づいて複雑なタスクを実行したりできるようにしたいと考えています。リゾートの現在のデータはというと、メール、PDF、動画、社内 FAQ など、非構造化コンテンツの膨大なコレクションです。
そこで力を発揮するのが Agentforce データライブラリです。非構造化データをエージェントに追加する方法を調べた後、Becca は Agentforce データライブラリを設定して Coral Cloud の AI チャットボットをグラウンディングすることにしました。
では、設定手順を一緒に見ていきましょう。
データライブラリを作成する
Becca はデータライブラリを作成する準備ができています。手順は次のとおりです。
- [Setup (設定)] で、[Agentforce Data Library (Agentforce データライブラリ)] を検索して選択します。
- [Agentforce Data Library (Agentforce データライブラリ)] 設定ページで、[New Library (新規ライブラリ)] をクリックします。
- 一意のライブラリ名と説明 (省略可能) を入力します。これには、目的やコンテンツが反映されるようにしてください。
-
[Save (保存)] をクリックします。
データソースを選択する
次に、Becca は使用するデータソースの種別を選択します。Agentforce には、ナレッジ記事とファイルのアップロードという 2 つのオプションがあります。データソースを選択したら後で変更できないため、ニーズに最適なものを選択してください。
Becca は、ゲストのニーズと Coral Cloud の提供するサービス内容に基づいて、このエージェントがスパサービスをおすすめできるようにしたいと考えています。スパマネージャーは、スパサービスや季節限定特別メニューに関する情報を PDF ファイルにまとめ、回覧しています。そこで、Becca はファイルベースのデータライブラリを作成することにしました。手順は次のとおりです。
-
[Upload Files (ファイルをアップロード)] をクリックし、ファイルを選択します。ファイルがサイズ制限内であることを確認します (テキスト/HTML は 4 MB、PDF は 100 MB)。
-
[Save (保存)] をクリックします。
[Save (保存)] をクリックするとすぐに、Data Cloud とプロンプトビルダーにまたがる設定ステップが開始されます。データストリームが Data Cloud にプッシュされ、データオブジェクトの作成と対応付けが行われ、検索インデックスとレトリーバーが作成されます。これらのステップは自動的に実行されるため、Becca と Coral Cloud Resorts は簡単にエージェントをデータにリンクできます。面倒な作業は不要です。シンプルでわかりやすい方法で、エージェントをより賢くすることができます。
データライブラリを機能に割り当てる
ライブラリを使用する準備が整いました。Becca は Coral Cloud のスパサービス Web ページで使用するために、ライブラリをエージェントに割り当てる必要があります。次の手順で新しいデータライブラリを割り当てます。
- エージェントの名前をクリックし、[Open in Builder (ビルダーで開く)] をクリックします。
-
[Knowledge (ナレッジ)] タブをクリックします。エージェントのライブラリを選択します (ライブラリを作成する場合は、[New Library (新規ライブラリ)] をクリックします)。
- 変更内容を保存します。
-
[Activate (有効化)] をクリックします。
データライブラリがサポートされる機能を確認するには、Salesforce ヘルプを参照してください。
実際に試してみる
データライブラリをエージェントに追加したところで、Becca は実際の動作を確認する準備が整いました。変更をテストするために、まず検索インデックスとデータライブラリの準備が完了したことを確認してから、会話プレビューを再起動します。
Becca はエージェントに敏感肌の方が利用できるスパサービスについて質問します。しばらく考えた後、エージェントは Tropical Revitalizing Facial と Aloha Aromatherapy Facial を提案します。
応答はすばやくシームレスに表示され、正常に機能しています。
次に、Becca はエージェントがリゾートの特別メニューからおすすめを提案できるかどうかを確認します。敏感肌向けの季節限定特別メニューについて質問すると、エージェントは Holiday Bliss Package をおすすめし、さらにパッケージに含まれている無料のクッキーとココアについても言及します。Becca がエージェントの推論を確認すると、データライブラリにアップロードしたファイルが引用されています。最後に、メニューと一致することを確認するために、Becca はエージェントに Holiday Bliss Package の価格を尋ねます。エージェントは即座に正しい価格で応答します。
テスト質問に対するエージェントの応答に満足した Becca は、最後にもう一度 [Activate (有効化)] をクリックします。Coral Cloud のプレミアスパでゲストにゆったりとくつろいでいただくために、リゾートのデータでグラウンディングされたエージェントの稼働準備が整いました。
まとめ
Agentforce データライブラリを使用すれば、未加工の非構造化データからインテリジェントなグラウンディングされた応答を生成するまでのプロセスが、どれほど迅速かつ簡単かを実感できました。経験豊富な Salesforce システム管理者でも、始めたばかりの方でも、AI エージェントをより賢く、より正確にし、お客様が驚くようなデータライブラリを作成、設定、テストするツールが手に入りました。新しいスキルを試す準備はできていますか? Sandbox で魔法のような機能を体験してください。
リソース
- Salesforce ヘルプ: データライブラリの設定
- Salesforce ヘルプ: Sandbox でのデータライブラリのテスト
- Salesforce ブログ: 6 Ways Sandboxes Prepare Your Agents for the Real World (現実世界で活用するために Sandbox でエージェントを準備する 6 つの方法)