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治療オーケストレーフレームワークについて調べる

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 治療オーケストレーションフレームワークの主なコンポーネントと機能を説明する。
  • 先進治療管理データモデルについて説明する。

連携の調和

前の単元では、先進治療管理の基礎として、そのコア機能と利点を知り、ライフサイエンス組織がどのように先進治療管理を利用して先駆的な協働的治療を提供できるかを学習しました。ここでは、この協働的ケアを指揮するフレームワークである治療オーケストレーションについて見ていきましょう。

複雑な音楽の演奏を導く指揮者のように、治療オーケストレーションによって先進治療に関係する複雑なプロセスが同期されます。それぞれの治療の課題、地域の規制、施設固有の変動要素に合わせて、適切なユーザーが最適なタイミングで必要なアクションを実行できます。

治療オーケストレーションを使用することで、複雑な治療のワークフローを柔軟に設計できます。各ワークフローは互いにつながりのあるサブフローで構成され、サブフローは治療の各フェーズ (登録から点滴まで) を表しています。次の図は先進治療のワークフローを表していて、アフェレシスフェーズが主要コンポーネントに分割されています。

フェーズ、ステップと、アフェレシスフェーズを使用する ToDo の分割。

この複雑さを管理するために、治療ワークフローは明確な階層に分かれています。

  • フェーズ (1): 登録、スケジュール、アフェレシス、製造、点滴などの先進治療の主なフェーズ。
  • ステップ (2): 各フェーズ内の主なステップ。たとえば、アフェレシスフェーズはアフェレシス前、採取前、採取中、採取後などの連続するステップに分割できます。
  • ToDo (3): 各ステップを構成する具体的な活動。たとえば、アフェレシス前フェーズには初期血清学的レポートの提出、アフェレシスキットの入手と確認などの具体的な ToDo が含まれます。

このような階層構造を使用することで逐次処理と並列処理が含まれるワークフローを設定できるため、実際の先進治療の複雑さに対応できます。

このフレームワークでは、チームの管理と役割の割り当てが最適化されます。各治療と施設に対してケアチームを設定できます。複数の施設にまたがるチームを構成して、コラボレーションを促進し、責任を共有することもできます。各チームメンバーには役割を割り当てることができます。この役割によって治療ワークフロー内でコンテキストに応じた活動が決まります。たとえば、看護師は受入中に患者の ID を確認し、検査技師はアフェレシス中に試料を準備します。ユーザーは各フェーズ内で治療の進行状況を視覚的に捉え、関連データにアクセスできるため、効果的に ToDo を完了するために必要な情報を得られます。

バックグラウンドのしくみを知る

先進治療管理では、堅牢で適応性が高いデータモデルによってこのように複雑なオーケストレーションをサポートしています。このモデル内の主なレコードとリレーションを理解することで、オーケストレーションツールが実際のアクションにどのようにつながるかを学習します。そのために、最近、希少な血液疾患と診断された Charles Green のジャーニーを見ていきます。

診断後、Charles の腫瘍専門医は StayHealthy Hospital の最先端 CAR T 細胞療法である Oncarta への登録を勧めました。StayHealthy はアフェレシスセンター、製造ラボ、点滴センターを備え、Charles のような患者向けの包括的なプログラムを用意しています。

先進治療管理データモデルと、それが Charles の治療ジャーニーにどのように対応付けられるかを見てみましょう。

Charles Green の Oncarta 治療のさまざまな側面に対応付けられたオブジェクト。

オブジェクトの概要を次に示します。

オブジェクト

説明

シナリオ

個人取引先 (1)

個人取引先レコードには、患者の取引先レコードと取引先責任者レコードの情報が組み合わされています。

Charles が患者として StayHealthy に紹介される。

ケアプログラム加入者 (2)

ケアプログラム (3)

ケアプログラム加入者レコードには、ケアプログラムの患者に関連する情報が保存されます。

ケアプログラムレコードは、患者に提供される一連の活動を表します。

Charles が Oncarta 療法ケアプログラムに登録する。

作業手順 (4)

作業手順レコードには、治療ケアプログラムなどのプロセスやプログラムに関する情報が保存されます。

特定のフローオーケストレーションを作業手順に関連付けることができます。

StayHealthy Hospital で、Oncarta (CAR T 細胞) 療法と呼ばれる先進治療法が提供される。

作業手順ステップ (5)

作業手順ステップレコードには、作業手順の一部である作業種別に関する情報が保存されます。

Oncarta の手順には、アフェレシス、製造、点滴などの一連のフェーズがある。

作業種別 (6)

作業種別レコードは作業のカテゴリを表します。作業手順と関連付けられている場合、作業種別は作業手順ステップと呼ばれます。

[Apheresis (アフェレシス)]、[manufacturing (製造)]、[Infusion (点滴)] が作業種別である。

作業種別ステップ (7)

各作業種別ステップは作業種別内の特定のステップを表します。各ステップは、全体のステップ内で完了すべき具体的な ToDo が含まれるアクションプランテンプレートに関連付けることができます。

[Before Collection (採取前)] は [Apheresis (アフェレシス)] 作業種別内の作業種別ステップである。

[Before Collection (採取前)] アクションプランテンプレートはレコードと関連付けられ、特定のユーザーが実行する一連の ToDo が含まれている。

サービステリトリー (8)

サービステリトリー (9)

子テリトリーとして設定されたサービステリトリーレコードは、作業種別が実行されるサイトまたは場所を表します。

親テリトリーとして設定されたサービステリトリーレコードは、作業種別が実行される、すべての子サービステリトリーをグループ化するサイトを表します。

各ステップが異なるサイトで発生する。これらのサイトは親サイトである StayHealthy Hospital にグループ化される。

上記のオブジェクトは主に先進治療ワークフローの設定構成を定義するものですが、それ以外に各患者のリアルタイム構成を表す追加オブジェクトがあります。

その 2 つの構成には次のような違いがあります。

  • 設定構成: この構成では、特定の患者に実施される前の治療ワークフローの基本要素を設定します。
  • 実行時構成: この構成では、設定が完了した後の患者の治療ジャーニーを追跡するリアルタイムレコードが Salesforce によって生成されます。

次の表で、各ワークフローフェーズがどのように設定構成と実行時構成に対応しているかを確認してください。

ワークフローのコンポーネント

設定構成 (各ワークフロー用)

実行時構成 (各患者用)

ワークフロー

ケアプログラム、作業手順

該当なし

StayHealthy Oncarta 治療

フェーズ

作業手順ステップ、作業種別

ケアプログラム加入者作業指示

登録

ステップ

作業種別ステップ、アクションプランテンプレート

ケアプログラム加入者作業指示ステップ

患者の同意

ToDo

アクションプランテンプレート内でユーザーまたはユーザーグループ別の役割が割り当てられた ToDo

ToDo フローとコンポーネント ToDo

患者の同意を要求、同意の受取を確認

設定構成と実行時構成の違いを理解することは、全般的な治療と具体的な患者のニーズを満たすワークフローを実装するために重要です。先進治療管理データモデルの全体像と各オブジェクトの詳細については、『Health Cloud Developer Guide (Health Cloud 開発者ガイド)』を参照してください。

オーケストレーションの動作

オーケストレーションフレームワークとデータモデルが確立されたところで、Charles Green の治療初期フェーズのジャーニーを追うことで、実際のオーケストレーションを見てみましょう。

治療センターのコーディネーターである Anita Mandal は先進治療管理アプリケーションにログインします。この合理化されたインターフェースでは、ユーザーは余計な複雑さに圧倒されることなく、ケアプログラム、複数ステップのスケジュール、治療オーケストレーションなどの主要機能に簡単にアクセスできます。このアプリケーションから Anita は Charles のケアプログラム加入者レコードにアクセスします。このレコードは Charles の治療ジャーニー全体をまとめる中央ハブです。

登録フェーズの初期 ToDo が表示されている Charles Green のケアプログラム加入者レコードページ。

ToDo ペインには登録フェーズの初期ステップである患者同意の取得と細胞注文の開始が表示されています。各ステップには Anita の役割に合わせた ToDo が含まれていて、Anita は自分の具体的な職務に集中できます。

ToDo をクリックすると、治療提供者のシステム管理者が設定したガイド付きワークフローが起動されます。ToDo を完了すると、オーケストレーションによって次のステップにシームレスに移行します。

たとえば、Anita が同意の ToDo を完了すると、細胞注文の受入ステップに移行します。

次のステップとして [Create Cell Order (細胞注文を作成)] が表示されている [My Tasks (私の ToDo)] ペイン。

次に Anita は [Create Cell Order (細胞注文を作成)] ToDo を開始します。それにより、治療購入の詳細設定を開始するワークフローが起動されます。

Charles の治療注文のための項目が入力されている [Create Cell Order (細胞注文を作成)] ウィンドウ。

Anita が細胞注文を完了すると、遺伝子治療コーディネーターが通知を受信します。コーディネーターの患者レコードビューには、そのコーディネーターに割り当てられた ToDo のみが表示されます。この場合、細胞注文を確認して承認します。

遺伝子治療コーディネーターに割り当てられた ToDo。登録フェーズには 1 つの ToDo が表示されている。

承認すると、患者のレコードはスケジュールフェーズに進みます。Anita にはスケジュールに関する新しいステップと ToDo が表示されます。ToDo ペインに新しいステップと ToDo が表示されている Charles のケアプログラム加入者レコードのスケジュールフェーズ。

このフェーズの最初のステップは [Book Slots (時間枠を予約)] というわかりやすい名前で、ここで Anita は Charles の治療タイムラインを連携させるという複雑なプロセスを開始します。彼女はアフェレシス、製造、点滴の予定をスケジュールします。シームレスな治療ジャーニーによって時間に無駄がないように、各予定が注意深く配置されます。

治療オーケストレーションは単に複雑な治療ワークフローを管理するだけではなく、治療体験全体を変革するものです。ワークフローを最適化してコラボレーションを促進することで、ケアの調和が生まれます。これは患者と提供者の両方にとって良いことです。

この単元では、治療オーケストレーションによって複雑な治療ワークフローが同期され、各チームメンバーが最適なタイミングで必要な ToDo を実行できるようになるしくみを学習しました。また、オーケストレーションフレームワークとデータモデルとの連携により、患者と提供者の両方にとって調和のとれた治療体験を実現できることも学習しました。

次の単元では、複数ステップのスケジュールによって治療ジャーニー全体での予定とリードタイムの連携が簡単になることを学習します。

リソース

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