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排出量予測とカーボンクレジットを計算する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 排出量予測の計算方法を説明する。
  • スコープ 2 固定資産からの排出量の予測計算について説明する。
  • カーボンクレジットの計算方法を説明する。

排出量予測の計算を理解する

コーヒーを飲みながら、予測計算のバックグラウンドで一体どのような処理が行われているのだろうかと考え始めた Safiya は、どんな計算が行われているのかを Sam に質問します。Sam の説明は次のとおりです。

Net Zero Cloud の排出量予測では、まず最下位レベルの排出活動が計算されます。次に、排出量がスコープ別に集計され、スコープレベルの排出量がすべての排出レベルに合算されます。 

スコープ別の集計 (最下位レベルの排出活動の排出量) → スコープレベルの排出量

集計 (スコープレベルの排出量) → すべての排出量

最下位レベルの排出活動の排出量予測を計算する場合、2 つのフェーズがあります。 

  1. 前年度の実際の排出量データとビジネス評価指標値を使用して、前年度の排出原単位を決定する。

    排出原単位 = 実際の排出量 (tCO₂e) ÷ ビジネス評価指標
  2. 排出原単位に将来年度の関連付けられたビジネス評価指標値を乗算して、その年度の排出量予測を計算する。

    将来年度の予測排出量 (tCo2e) = 排出原単位 × 将来年度のビジネス評価指標

つまり、2022 年度に 2026 年度の排出活動の予測を計算する場合、次の情報が必要になります。

  • 前年度 (2021 年度) の実際の排出原単位
    • 実際の排出量 (2021 年度)
    • ビジネス評価指標値 (2021 年度)
  • 将来年度 (2026 年度) のビジネス評価指標値

スコープ 3 出張の排出量予測を計算する

スコープ 3 出張排出活動の排出量予測は、収益ビジネス評価指標に基づきます。

スコープ 3 出張の排出量予測値の計算例。

では、現在 2022 年度で、2026 年度の予測を計算すると仮定した場合の例を考えてみましょう。前年度 (2021 年度) の実際の排出量 (tCO₂e) = 75 で、

2021 年度の収益 = 120 の場合

2021 年度の排出原単位 = 75 ÷ 120 = 0.625 (四捨五入して 0.63) です。

2026 年度の収益 = 200 であれば

2026 年度の予測排出量 (tCO₂e) = 200 × 0.63 = 126 になります。

どの排出活動の排出量予測も同様に計算しますが、スコープ 2 固定資産の商業ビルとデータセンターは例外です。この 2 つの計算を見てみましょう。

スコープ 2 固定資産の排出量予測を計算する

スコープ 2 固定資産の排出量予測は、延床面積ビジネス評価指標に基づきます。さらに、固定資産の合計エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合が考慮されます。 

バックグラウンドで次の計算が行われます。

  1. 前年度の合計エネルギー消費量から再生可能エネルギー消費量を除算して、前年度の実際の再生不能エネルギー消費量を計算します。

    実際の再生不能エネルギー消費量 (kWh) = 実際のエネルギー消費量 (kWh) - (実際の再生可能エネルギー消費割合 ÷ 100)
  2. 前年度の排出原単位を計算します。

    排出原単位 = 実際の排出量 ÷ 実際の再生不能エネルギー消費量
  3. 前年度のエネルギー使用量と、前年度と将来年度の延床面積を使用して、将来年度の合計エネルギー消費量を計算します。

    将来年度の合計エネルギー消費量 (kWh) = 実際のエネルギー消費量 (Kwh) ÷ 延床面積 (sqft) × 将来年度の延床面積 (sqft)
  4. 予測合計エネルギー消費量のうちの再生不能エネルギー消費量を、予測合計エネルギー消費量値から将来年度の再生可能エネルギー消費量を減算して計算します。

    将来年度の予測再生不能エネルギー消費量 (kWh) = 合計エネルギー消費量 (kWh) - 予測再生可能エネルギー消費割合 ÷ 100

    予測再生可能エネルギー消費割合は、延床面積ビジネス評価指標値と同様にユーザーが指定した値です。
  5. 将来年度の排出量予測は、排出原単位値に将来年度の再生不能エネルギー消費量値を乗算して計算します。

    将来年度の予測排出量 (tCo2e) = 排出原単位 × 将来年度の予測再生不能エネルギー消費量 (kWh)

では、現在 2022 年度で、2026 年度の予測を計算すると仮定した場合の例を考えてみましょう。

前年度 (2021 年度) については、年間排出インベントリの次の基準値を使用します。

実際の排出量 (tCO₂e) = 100 

実際のエネルギー消費量 (kWh) = 1000

実際の再生可能エネルギー消費割合 = 20%

2021 年度の延床面積 (sq ft) = 20

2026 年度の延床面積 = 24

2026 年度の予測再生可能エネルギー消費割合 = 30% 

では、計算結果を見てみましょう。

  1. 2021 年度の実際の再生不能エネルギー消費量
    = 実際のエネルギー消費量 - 実際の再生可能エネルギー消費量
    = 1000 - (1000 × 20 ÷ 100)
    = 800
  2. 2021 年度の排出原単位
    = 実際の排出量 ÷ 実際の再生不能エネルギー消費量
    = 100 ÷ 800
    = 0.125
  3. 2026 年度の合計エネルギー消費量 (kWh)
    = 実際のエネルギー消費量 (Kwh) ÷ 2021 年度の延床面積 (sqft) × 2026 年度の延床面積 (sqft)
    = 1000 ÷ 20 × 24
    = 1200
  4. 2026 年度の予測再生不能エネルギー消費量 (kWh)
    = 合計エネルギー消費量 (kWh) - (予測再生可能エネルギー消費割合 ÷ 100)
    = 1200 - (1200 × 30 ÷ 100)
    = 1200 - 360
    = 840
  5. 2026 年度の予測排出量 (tCo2e)
    = 排出原単位 × 2026 年度の予測再生不能エネルギー消費量 (kWh)
    = 0.125 × 840
    = 105
メモ

再生可能エネルギーの比率が徐々に増大している場合は、合計エネルギー消費量が増加しても排出量が減少します。再生可能エネルギー源からの排出量がゼロであるためです。たとえば、NTO が 100% 太陽光発電に切り替えた場合、エネルギー消費量が増えても排出量はゼロのままになります。

カーボンクレジットを計算する

予測プロセスでは、Sam が Net Zero 目標を達成するためにカーボンクレジットを購入することにした場合に必要なクレジット数も計算されます。カーボンクレジットは、会社全体の排出量を表す、すべての排出レベルで予測されます。 

計算方法は次のとおりです。

必須カーボンクレジット (tCo2e) = 最終予測排出量 - 目標補正排出量

目標補正排出量は、[目標種別] = [Net Zero 排出目標]、[排出活動] = [すべての排出] と指定して作成された排出削減目標レコードから自動的に取得されます。

さらに、Sam がある年度のカーボンクレジットコストを指定して、その年度の必須カーボンクレジット投資を取得することもできます。 

予測プロセスで、必須カーボンクレジットに指定したカーボンクレジットコストが乗算され、必須カーボンクレジット投資が自動的に計算されます。

将来年度のカーボンクレジット投資 = 必須カーボンクレジット × カーボンクレジットコスト 

たとえば、2026 年度の必須カーボンクレジットが 177651 で、カーボンクレジットコストが 13 の場合、2026 年度のカーボンクレジット投資
= 177651 × 13
= 2309463

サンプルの予測データが示され、2026 年度の [必須カーボンクレジット投資] 基準の値が強調表示されている [高度な販売予測] ページ。

Safiya は感心しています! Net Zero Cloud で予測がどのように計算されるのか理解することができました。 

まとめ

Safiya と Sam は Net Zero Cloud で高度な予測機能を簡単に設定できることにかなり満足しています。この 2 人の例を参考に、各自の組織で排出量を予測して追跡してみてください。 

リソース

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