アクション可能セグメンテーション入門
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 銀行における顧客セグメンテーションを説明する。
- 顧客を細かくセグメント化する際の問題を説明する。
- アクション可能セグメンテーションの重要性を説明する。
- アクション可能セグメンテーションの主な要素を挙げる。
顧客セグメンテーションとは?
顧客セグメンテーションとは、多様な顧客ベースを関連性の高い顧客ごとに分類し、より小規模なグループに分けるアプローチです。こうしたグループは、銀行の商品やサービスのマーケティングに影響を与える年齢、住んでいる場所、収入、資金の使い方などの基準に基づいてセグメント化されます。銀行では、顧客に関する理解を深め、顧客に合わせてカスタマイズされた商品やサービスを提供するために、顧客セグメンテーションを利用しています。
金融マーケティング業界におけるトップクラスのマーケティング担当者は、顧客セグメンテーションを自社のサービスを販売する上で重要な戦略であると認識しています。銀行が提供する商品やサービスには、それぞれ異なるターゲット層が設定されています。顧客それぞれのニーズに応えるため、銀行は共通する属性に基づいて、顧客を適切にグループまたはセグメントに分類する必要があります。
顧客セグメンテーションは、銀行のマーケティングにおける最優先事項とされることが多く、そうするだけの理由があります。セグメンテーションソリューションは、顧客の購買行動に基づいて顧客をグループ化し、銀行が顧客に合った商品やサービスを提供できるようにします。さらに、顧客の希望に対する理解を深めることで、マーケティング担当者はクロスセルやアップセルの機会を最大限に活かし、顧客に関連サービスの検討を促せます。この他にも、セグメンテーションは銀行に以下のようなメリットをもたらします。
- それぞれの顧客に適したプロモーションコンテンツを決定できる。
- 対象となるオーディエンスに適したマーケティングチャネルを選択できる。
- 新しい収益性の高いセグメントを特定し、革新的な商品やサービスを立ち上げられる。
Cumulus における顧客セグメントの必要性
Cumulus Bank は幅広い顧客ベースを有し、顧客はパーソナライズされた商品やサービスを好む傾向にあります。顧客はそれぞれ、銀行の商品やサービスの購買行動につながる、購入の意思を持っています。自分の要求に応えてくれる銀行があれば、顧客は競合他社よりもその銀行を選びます。Cumulus Bank の営業チームには、担当顧客をセグメント化し、効果的な営業活動を行うためのターゲットを絞ったアウトリーチを計画することが求められます。以下の理由で、Cumulus は顧客を効果的にセグメント化できるソリューションを求めています。
- フロントラインで働く金融プロフェッショナルは、顧客に個別に、あるいはグループとしてアウトリーチするため、顧客データをすばやく検索し、絞り込み、手動でグループ化し、書式化する必要があります。
- Salesforce CRM のオブジェクト指向マルチテナントアーキテクチャでは、すべての関連データが異なるエンティティに分散されています。
- また、金融プロフェッショナルは、タイムリーでパーソナライズされた顧客へのアウトリーチのためのリストを必要としています。こうしたリストは、顧客との関係を構築し、強化する上できわめて効果的です。
- スプレッドシートなどの既存の手段を使った場合、ユーザーのエクスペリエンスは断片的なものになります。
現在、Cumulus Bank の前途は多難です。チーム全体が、顧客データの管理、データのアクセス性、顧客のターゲティング、顧客へのアウトリーチ、顧客エンゲージメントに苦労しています。そこで Cumulus Bank は、以下の機能を備えたソリューションを探しています。
- クロスオブジェクト検索条件によるセグメンテーション
- シンプルなリストのキュレーション
- システム管理者が設定するデータソース
- 共同でのアウトリーチ
- アウトリーチの結果のトラッキング
Cumulus のチーム
こちらは、Cumulus で Salesforce システム管理者を務める Matt O'Brien です。Matt は、テクノロジーソリューションの構築、設定、自動化を通じてビジネス上の問題を解決する、優れた手腕の持ち主です。
Cumulus のファイナンシャルアドバイザー Ryan Dobson が、顧客へのアウトリーチとエンゲージメントに求められる要件について Matt に相談しています。こうした要件に最適なソリューションは、Financial Services Cloud (FSC) のアクション可能セグメンテーションだと Matt は考えます。Ryan はこのアイデアに大賛成で、このソリューションについてもっと知りたいと考えています。Matt が Ryan にアクション可能セグメンテーションの概要を説明する様子を一緒に見てみましょう。
アクション可能セグメンテーションソリューション
Ryan はアクション可能セグメンテーションを活用することで、類似する顧客プロファイルをセグメント化し、それをキュレーションし、タイムリーでパーソナライズされた顧客アウトリーチプログラムを設計できます。
アクション可能リスト定義とアクション可能リストは、アクション可能セグメンテーションソリューションの重要な要素です。Ryan は、さまざまなアウトリーチ施策に向けたアクション可能リストを作成できます。このソリューションにより、フロントラインで働く営業チームは、豊富な顧客セグメントを構築し、顧客エンゲージメントに優先順位付けできます。その結果、顧客との関係を深め、ビジネスを効果的に成長させられます。
Matt は、Ryan と彼のチームに役立つ機能として以下を挙げます。
- 絞り込みに必要な関連するクロスオブジェクト情報を含むデータソースを構築し、使用する。
- クロスオブジェクト情報を絞り込んで、アクション可能な顧客リストを作成する。
- アクション可能リストを共有し、割り当て、共同で実行する。
- 選択したクライアントの実行状況を追跡する。
アクション可能セグメンテーションの主なステップ
こちらは、主要ユーザーがアクション可能セグメンテーションを使って実行するタスクを示したフロー図です。
そしてこちらは、タスクを実行するユーザーと、各ステップで得られる結果の詳細です。
ステップ |
アクション |
ユーザー |
場所 |
結果 |
---|---|---|---|---|
1 |
アクション可能リスト定義を作成して、有効化する |
システム管理者 |
アクション可能セグメンテーションの [Settings (設定)] ページ |
キュレーションしたデータセットが CRM Analytics に保存される |
2 |
リスト定義を使ってアクション可能リストを作成する |
営業エグゼクティブまたはマネージャー |
[Actionable Lists (アクション可能リスト)] または [Actionable List Builder (アクション可能リストビルダー)] ページ |
アクション可能リストが作成される |
3 |
優先度を設定し、割り当てを管理する |
営業エグゼクティブまたはマネージャー |
アクション可能リストレコードページの [Actionable List Members (アクション可能リストメンバー)] コンポーネント |
アクション可能リストが設定され、営業担当者またはサービスエージェントに割り当てられる |
4 |
プロスペクトまたはリストメンバーに働きかける |
営業担当者またはサービスエージェント |
アウトリーチリストメンバーページの [Actionable List Engagement (アクション可能リストエンゲージメント)] コンポーネント |
顧客エンゲージメント活動が作成される |
次のステップ
パーソナライズされターゲットを絞ったアウトリーチが求められる Cumulus のニーズを解消し、限定的な顧客へのアウトリーチやエンゲージメントに潜む落とし穴を回避するアクション可能セグメンテーションの可能性に、Ryan は感銘を受けます。そして Ryan は Matt に、Cumulus での使用に向けて、このソリューションを設定するよう依頼します。
次の単元では、Matt がアクション可能セグメンテーション用の組織を準備する様子を一緒に見ていきます。
リソース