ビジネス価値と社会的価値の実証について学ぶ

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

• ビジネス価値を定義する。
• 社会的価値を定義する。
• リレーションシップ設計によって社会的価値とビジネス価値がどのように結びつけられるかを説明する。

設計でインパクトを高める

顧客、コミュニティ、従業員は、組織がより良い社会に向けてどのような影響力があるのかだけでなく、前向きで持続可能な変化をどのように促進しているかについて説明責任を果たすことをますます期待するようになっています。ビジネス社会における説明責任とは、意思決定と活動による効果と影響を報告する責任であると考えることができます。

組織が重要業績評価指標 (KPI) レポートや年次報告書などのツールを通じて自らの影響力と成功を示すことは、ベストプラクティスとして認められています。ですが、組織が社会にどのようなプラスの影響を与えているかを測定することも重要です。なぜでしょうか? 社会にプラスの影響をもたらす持続的な変化を促進することは、単純に正しい選択であり、優れたビジネス計画であるからです。

組織がビジネス目標の達成と社会の向上を両立することに注力すれば、すべての人にメリットがあるのです。

組織は、社会的責任に取り組む信頼できるブランドとしての評判を確立するとともに、コミュニティと個人に力を与え、雇用市場や経済を含めた社会への貢献度を高めることができます。この社会とビジネスへの持続的な影響は、イニシアチブを通じて促進することができます。たとえば、外部とのパートナーシップを構築することで、芸術や教育を通じて社会から取り残されている集団に力を与えることができます。また、外部のプラットフォームやプログラムを使用して、求職者の技術的なスキル向上をサポートすることもできます。

では、どのようにすれば、この両方の種類の価値を高めることを日々の活動の中で常に優先できるでしょうか? その答えは、設計プロセスを含む内部プロセスを使用することです。

設計プロセスを通じて、組織は独自のビジネスニーズと、顧客、コミュニティ、より良い社会のための利益とニーズとのバランスを取ることができます。その結果、市場に投入する製品とサービスにおいてビジネス価値と社会的価値の両方を生み出すことを提唱できます。

設計のビジネス価値

設計を通じたビジネス価値の創造とは、組織が顧客のニーズを満たせるように製品とサービスを設計することを意味します。具体的には、次のような製品とサービスを作り出すということです。

• 顧客にとって望ましく、顧客の需要と期待に応えることができるもの
• 構築と維持が技術的に可能であるもの
• 組織にとって実行可能で成功をもたらし、長期的な価値を生み出すことができるもの

組織は、必要なタスクを合理化する内部プロセスの改善を通して、または便利さ、つながり、楽しみをもたらす一般向けのエクスペリエンスを通して、設計のビジネス価値を実現できる可能性があります。

設計の社会的価値

設計を介した社会的価値の創造とは、社会的なプラスの影響と変化を促進する製品とサービスを組織がどのように開発できるかということを指します。この社会的影響のもとでは、意図的に公正なビジネス慣行を実践することによって、弱い立場にある人々に害が及ばないようにすることもできます。場合によっては、弱い立場にある人々に影響を与える問題について、より広いコミュニティに声を上げてもらえるように導くことにもなります。

このモジュールでは、組織が主要な手法とプロセスを使用して、ビジネス価値と社会的価値を高め、最終的に設計プロセスでより一層の説明責任を果たす方法を説明します。まず、組織がどのようなリレーションシップ設計の手法を使用して、設計と構築のプロセスに両方の種類の価値を確実に組み込んでいくのかを見ていきましょう。

一心同体

リレーションシップ設計とは、継続的なエンゲージメントを促進し、長期にわたって人、組織、コミュニティ間のつながりを強化するエクスペリエンスを作り出す手法です。リレーションシップ設計では、リレーションシップは価値の基本的な構成要素であり、ビジネスを構成する人々や社会の人々が相互につながっているものとして認識されます。この相互のつながりから、リレーションシップ設計では、長期的なビジネス価値は社会に積極的に貢献することにかかっていると言えます。

組織がリレーションシップ設計を使用して、ビジネス価値と社会的価値の両方を設計プロセスに組み込む方法について、架空の企業である Bloomington Caregivers を例にして詳しく確認していきましょう。

リレーションシップ設計の視点から

最近、Bloomington Caregivers の製品設計チームは、外来患者がより効率的で利用しやすいチェックインとアフターケアサービスを体験できる新しいモバイルアプリケーションを構築しました。チームはリレーションシップ設計を使用して、このアプリケーションで患者と医療提供者間でより効果的なエンゲージメントを生み出す方法について検討しました。具体的には、このような相互作用を強化することで、どのように健康状態を改善して両グループをブランド支持者にすることができるか、また、この改善によりどのような価値が生み出されるのかについて考えました。

• ビジネス価値: Bloomington Caregivers は、患者と医療提供者がチャット機能を介してつながって軽微な問題への対処をより簡単に行えるようにすることで、関節炎などの慢性疾患に関連するケアサービスを改善しました。これにより、患者の健康状態が改善されると同時に、医療提供者の業務も少し楽になり、結果的に顧客ベースの増加と収益の向上につながりました。
• 社会的価値: Bloomington Caregivers はインクルージョンと顧客の成功を促進する製品機能を構築しました。この機能には、多言語で利用可能なチャット機能や、患者が治療計画や通院について家族や大切な人々と共有することができる、病院の患者ライブラリにある教育用ビデオが含まれています。また、患者は問診票と転帰票の回答に基づいて、コミュニティサポートや患者の支援者グループとつながることができます。

次は、ビジネス価値と社会的価値を設計プロセスに組み込むことで説明責任を確実に果たすことにもなる、組織が使用できる重要なフレームワークと考慮事項を見ていきましょう。

リソース

• Trailhead: Relationship Design (リレーションシップ設計)
• Trailhead: Values-Driven Design (価値を追求した設計)