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アクセシビリティの支援者になる

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • アクセシビリティに関連するロールと責務について説明する。
  • 支援技術の種類と用途を挙げる。
  • アクセシビリティの支援者として行動する。
  • アクセシブルな製品を調達する。

ロールと責務の概要

アクセシビリティは全員の責務です。組織が顧客や従業員のためにアクセシブルなデジタルエクスペリエンスを創出するためには、1 人ひとりが障害のある人々に配慮する必要があります。ここで、アクセシビリティを念頭に置いたインクルージョンのベストプラクティスの事例におけるロールと責務の例を示します。

コンテンツチーム 

女性 3 人と男性 2 人の 5 人のグループがテーブルを囲んで、数枚のドキュメントについて話し合っています。

コンテンツチームは、わかりやすい言葉と検索最適化技法を使用したコンテンツの記述、コンテンツのスタイルガイドの作成、明確化を目的とする編集を行います。同チームは、成果物の情報画像やリンクに必ず代替テキストを付ける必要があります。

設計者とユーザーエクスペリエンスチーム 

ある人がデスクでスケッチブックに描画しています。

設計者とユーザーエクスペリエンスチームは、アクセシビリティを、チェックリストに記載されている要件としてではなく、ユーザーエクスペリエンスに不可欠な要素と考えます。これらのチームは、主要なインタラクションを特定し、アクセシビリティを念頭にワイヤーフレームやプロトタイプを作成して、キーボードたけで機能にアクセスできる方法を定義します。 

フロントエンド Web 開発者とモバイル開発者 

笑顔の女性と男性が、机上のコンピューターを見ています。男性の片足は義足です。

フロントエンド Web 開発者やモバイル開発者は、人々がそのアクセス方法に関係なく、Web やモバイルコンテンツを表示して理解し、ナビゲートできるようにします。開発者は部門横断的なチームの他のメンバーと協力して、堅牢なユーザーエクスペリエンスを実装します。フロントエンド Web 開発者やモバイル開発者は、必要に応じて適切な ARIA (アクセシブルなリッチインターネットアプリケーション) の属性やロールを設定したセマンティック HTML を使用し、常に支援技術を念頭に置いてコーディングを行います。

リーダーと役員 

5 人のグループのうちの 1 人が発表者として、「フレンドリープログラム」と書かれたホワイトボードの前で説明しています。

リーダーや役員は各自の組織のアクセシビリティプログラムをサポートし、平等で受容的な文化を推進します。 

マーケティングチームとデザインチーム 

5 人のグループがコンピューターを囲んで活発な議論を交わしています。

マーケティングチームとデザインチームは、ブランドの全要素 (社外機関が作成したものを含む) のアクセシビリティに対する責任を担います。これらのチームは、ユーザーエクスペリエンス (UX) チームや開発者と協力して、全般的なスタイル設定やブランド設定に実施された変更が引き続きアクセシブルであることを確認します。 

製品マネージャー 

人工内耳を装着した女性が微笑んでいます。

製品マネージャーは、アクセシビリティ要件がリリースの優先事項になっていることを確認します。そして製品チームと協力して、アクセシビリティ基準の評価、優先順位付け、サポートを行い、ガイドラインに従っていることを確認します。 

プログラムマネージャー 

眼鏡をかけた男性が微笑んでいます。

プログラムマネージャーは、アクセシビリティを擁護し、アクセシビリティの進捗状況を追跡します。具体的には、チームがアクセシビリティの問題をチェックして、バグを報告し、問題を修正して再テストする時間をスケジュールします。また、品質保証チームが適切なテスト基準を認識していることや、アクセシビリティの監査が最新の内容であることを確認します。 

営業チーム 

人工内耳を装着している男性が、別の男性にコンピューター画面上のデータグラフを示しています。

営業チームは、自主的製品アクセシビリティテンプレート (VPAT)、製品のアクセシビリティ状況、アクセシビリティのデモ方法など、メンバーがアクセシビリティに関する十分な知識を習得しているようにします。

セキュリティチームまたは調達チーム 

笑顔の男性と女性が握手をしています。

セキュリティチームまたは調達チームは、組織のアクセシブルなツールの承認や取得を担当します。セキュリティチームのメンバーは、法律または正当な必要性によって推奨される場合を除き、セキュリティのベストプラクティスやツールが、障害のあるユーザーの妨げになっていないことを確認します。

サポートとトレーニング 

車椅子に座っている女性がヘッドセットを付け、コンピューター画面を見ながら顧客と電話で話しています。

サポートとトレーニングは、顧客向けのトレーニングと社内トレーニングのすべてで、動画に字幕やその他のアクセシブルなコンテンツナビゲーションが表示されるようにします。また、アクセシブルなプラットフォームを装備し、アクセシビリティのトレーニングを受け、十分な知識を有するエージェントがカスタマーサポートの問い合わせに対応できるようにします。 

テスト担当者と品質保証エンジニア 

机上のキーボードに入力している女性の横で、黄金色のラブラドル盲導犬が座っています。

テスト担当者と品質保証エンジニアは、アクセシブルではないコードを出荷せず、リリース前にアクセシビリティのバグを検出します。また、代替テキストの不備、色のコントラストが不十分な箇所、キーボードの利用不能など、アクセシビリティの基本的な問題をテストする方法を心得ています。

ユーザー調査 

「アクセシビリティの有用性調査」と書かれたスライドの前に立っている男性と女性

ユーザー調査ではまず何よりも、エンドツーエンドのユーザー調査プロセス (サインアップフォーム、メールアウトリーチ、アンケートなど) がアクセシブルであることを確認します。ユーザー調査者はまた、調査対象に障害のあるユーザーを含めます。 

アクセシビリティの支援者

自身のロールに関係なく、アクセシビリティの支援者になりましょう。Salesforce では、部門やチームを越えてアクセシビリティを推進する支援者を擁護者と呼ぶこともあります。アクセシビリティの支援に取り組む場合に差し当たって実行できることの 1 つが、このようなコースを受講することです。ですから、あなたはすでに一歩を踏み出していることになります。チームのメンバーにもアクセシビリティコースの受講を勧めましょう。アクセシビリティの支援者として、各自のチームと会社のアクセシビリティエキスパートをつなぐ、知識豊富な橋渡し役になることができます。そうすれば、チームメイトがプロジェクトのどの段階でもあなたにアクセシビリティに関する質問をすることができるため、後から付け足す場合よりも適切なアクセシビリティを製品に組み込むことができます。 

アクセシビリティの支援者の特徴

  • 擁護者
  • 変化の推進者
  • 積極的
  • 共感的
  • 協力的
  • 実現者
  • 実際的

支援技術の構築

障害のある人が各自の機能的能力を増強、維持、改善するために使用するものすべてが支援技術 (AT) に該当します。つまり、発話、入力、記憶、指差し、視覚、聴覚、学習、歩行、その他さまざまな機能を困難とする人々を援助します。障害ごとに必要とする支援技術は異なります。 

支援技術の例

  • ローテク製品 - 厚紙やフェルト製のコミュニケーションボードなど
  • ハイテク製品 - 特殊なコンピューターや拡大表示など
  • コンピューターハードウェア - 適応型スイッチや点字キーボードなど
  • コンピューターソフトウェア - スクリーンリーダーや音声読み上げプログラムなど
  • 包括的または専門的な学習教材やカリキュラム補助

アクセシブルな製品の調達

デジタル製品を調達するときは、必ずその製品がアクセシブルであることを確認します。アクセシビリティを判断する確実な方法の 1 つが、ベンダーが自主的製品アクセシビリティテンプレート (VPAT) を公開しているかどうか確認することです。Salesforce は多数の自社製品で VPAT を公開しています。VPAT には、アクセシビリティ Web 監査の結果が要約され、第 508 条のアクセシビリティ標準、WCAG のガイドライン、国際規格に製品やサービスがどの程度適合しているかが記載されています。

VPAT を公開することで、会社が製品アクセシビリティに対して透過的であることを示し、アクセシブルな製品を提供するベンダーとしての評判を高めることができます。VPAT は数種類の目的を果たします。たとえば、一部の連邦調達契約には第 508 条への準拠が定められ、企業が購入条件としてベンダーに正確かつ最新の VPAT の提出を義務付けることがあります。 

VPAT は、製品がアクセシブルであることや、将来にわたってアクセシブルであることを保証するものではありません。特定の時点でデジタル製品のどこが適合し、どこが適合していないかを記したものにすぎません。購入する製品の VPAT を受領したら、axe のような自動ツールを使用してその製品に独自のアクセシビリティ監査を行い、NVDA などのスクリーンリーダーを使用して手動テストを実施します。問題を特定した場合は、ベンダーと協力して修正案を検討することが考えられますが、自力で問題を修正することもできます。

まとめ

顧客や従業員のためにデジタルアクセシブルなエクスペリエンスを創出するためには、組織の全員が各自の役割を担います。自身のロールに関係なく、アクセシビリティの支援者になることができます。変化を推進し、他の人々が各自のロールでアクセシビリティを検討するよう働きかけることが考えられます。一定のロールでは、アクセシブルな製品を構築するということが、支援技術の構築を意味します。支援技術は、ローテクのツールから、スクリーンリーダーや屋内ナビゲーターとなるテクノロジーまで、さまざまな形で提供されます。一部の組織には、アクセシブルな製品を調達するロールが存在します。VPAT を入手すれば、デジタル製品がアクセシビリティの標準を満たしているかどうかを判断でき、また開発者がアクセシビリティの問題に対処する際に参照できます。

アクセシビリティは大切です。アクセシビリティのメリットと標準について適切な知識を身に付けたあなたは、アクセシビリティの支援者になる用意ができたことになります。アクセシビリティの支援者として、アクセシビリティの重要性や要件に対する認識を広めましょう。これからは、あなたの会社の製品が、能力の異なるさまざまな人々のニーズを満たすように構築されていることを確認する目的で、アクセシビリティに関する質問をすることができます。あらゆる能力の人々に、テクノロジーを駆使する平等の機会が与えられることを保証するためには、あなたが第一歩を踏み出す必要があります。

リソース

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